劇場公開日 2022年10月7日

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「ありきたりなプロットのB級アクションと思いきや陰影の深さが印象的な重厚なドラマでした」ザ・コントラクター よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ありきたりなプロットのB級アクションと思いきや陰影の深さが印象的な重厚なドラマでした

2022年10月22日
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鑑賞方法:映画館

百戦錬磨の特殊部隊員ジェームズは膝の怪我に悩みステロイドの多用を理由に除隊を命じられる。かつての上官マイクに勧められて政府の極秘ミッションを請け負っているという民間軍事組織と契約したジェームスはマイクらと共にベルリンに潜入、医薬会社から極秘情報を強奪することに成功するが、撤退時に警官隊と激しい銃撃戦となりマイクとジェームズは孤立、膝の痛みで動けなくなったジェームズは情報をマイクに託す。ベルリン市街に戻ったジェームズは組織に救援を依頼するが、待ち合わせ場所に待っていたのは暗殺者達だった。

いかにもB級アクションのプロットですが、強い愛国心を持つジェームズがあっさりと組織に切り捨てられて絶望する辺りの描写が生々しく、民間軍組織のリーダーのラスティがさりげなく語るセリフにハートを鷲掴みにされます。そしてとにかく印象的なのはジェームズの少年時代。父親との常軌を逸した関係を映像だけで描写するカットの陰惨さがある意味ありきたりなプロットを別次元に押し上げています。この辺りはスウェーデンのタリク・サレ監督の作家性が滲んでいるものと思われ、カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した“Walad Min Al Janna”(英題:Boy from Heaven)への期待が高まります。

個人的には元上官マイクを演じるベン・フォスター。娘とともに森の中で自給自足の生活をするPTSDを患った退役軍人を演じた『足跡はかき消して』と同じく、奥行きのあるキャラクターを見事に体現していました。あとラスティを演じるキーファー・サザーランドの一言に軍人のプライドが集約されていてグッときました。

エンドロールを眺めているとファミリーネームの綴りがuで終わるスタッフが多くて、これは恐らくルーマニアのスタッフが多いからかと。ハンガリーやブルガリアの製作スタッフが活躍することが多いB級アクションにまた新しい風が吹き始めてるのかも知れません。

よね