とべない風船のレビュー・感想・評価
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フェイスtoフェイスで【話し聞く】事によってほぐれていく
西日本豪雨災害がテーマで、三浦透子さん(ドライブ・マイ・カー鑑賞して大ファンになった)が出演しているので鑑賞。三浦透子ファン度が増々上がった。夫々に心に深い錘を抱えた人たち、フェイスtoフェイスで【話し聞く】事によってほぐれていく。ラストシーンで明らかになる映画名【とべない風船】の意味、感涙❣
東出昌大の役者としての成長と三浦透子の相変わらずの名演、そして二人を支えるベテラン陣の好演により、“飛べない風船”だった二人が前に進み始める姿を爽やかに描いた好編。
※(楽屋落ちネタ:黄色い風船の映画にミヨちゃんが出演している…若い子には分からないだろうなぁ)
①私は殆どTVのワイドショーは観ないし(女性)週刊誌も殆ど読まないので、“東出昌大って不倫騒動で干されたという割にはコンスタントに映画に出てるよな”という印象だった。『コンフィデンシャルJPシリーズ』(私にはこの映画シリーズの何が面白いのかよくわからない)が大作な位で、あとは中くらいの規模の映画だけれども(でも殆どは主役)。
それだけ製作者や監督が使いたいと思う役者になったのかな、とも思ってもいたが、かの映画を観て少しわかった気がした。
②
人生に疲れたらまた再出発すればいい
人の暖かみを感じる映画でした。過去を振り返りがちで、一人で生きていくのが難しい。しかし、みんなで助け合い、支えながら生きていくと一人ではないということがわかります。瀬戸内海の小さな島で最低限のインフラも整っていないが、みんなで支え合って生きています。仕事で鬱によって離職、余命宣告された妻とその夫、妻子をなくした夫が集まった島です。しかし、暖かみでみんなが一つになります。一人で抱え込んでいたが、助け合いにより未来へ再出発することができました。人は自分には弱く、他人に対しては無限大な可能性を与えられる強い生き物と感じることができました。一人ではないということを実感できる映画でした。東出さんと三浦さんしかできない役を演じてくれて、シンプルな日常ストーリーに感動を与えてくれました。また劇場で二人の姿を見たいです。東出さんもサバイバル生活でプライベート再出発できたようです。
ザ・「ご当地映画」
東出昌大さんに三浦透子さんと、このキャスティングは観ておきたいとチェックしておりましたが、先行して上がっている評価がかなり高いようで、期待感マシマシで劇場鑑賞です。
感想ですが、、いわゆる「ご当地映画」クオリティーですね。正直、配信待ちでいいような気がします。(祝日午前回の新宿ピカデリーではイビキも聞こえてきました。)
名の通った俳優さんと、そうじゃない方々、子役などの演技のギャップが目立ってしまいややノイズになる感じは否めません。下手だというわけではないと思うんですね。もう少し演出が必要な気がします。
また、物語上の無理やりな設定もやはり「ご当地映画」にありがちで、凛子(三浦)の父(小林)に起きることに「物語上はタイミングいいけどね。(煮物の塩分抑えてね。)」や、ある登場人物の行方不明で見つかった場所について「あれ、(子供たちに訊けば)そこは誰しも最初に確認しない?」や、憲二(東出)の義父がずっと引っ掛かってることに「それそもそものきっかけはあなたです」とか、(子役の)咲が憲二宅の庭にあるものを見つける「あれ、今気づいたの(って、むしろ不自然)」などなど、枚挙にいとまがないですがむしろちょっと笑えます。
東出君、今回はあまり言葉を発しないキャラクターでしたが、いいバイブス出していたと思います。ご本人もいろいろあります(過去形に出来ない気がする)が役者としては「いい顔」になってきました。
また、何気に物語の展開役でもあるコメディリリーフとしての笠原秀幸さん、いい働きじゃないでしょうか。Good Job!
心の傷は克服するものではない
まさか東出昌大に泣かされてしまうとは。セリフが少ないのが功を奏したのか、一皮むけて背中で演じることができるようになったのかわからないが、三浦透子の自然な演技に呼応したかのように陰鬱な気を発する東出昌大が佇んでいる。
父が娘である凛子を出迎えているのに、凛子は初めて島を訪れたみたいなことを言う。「あれ、どうして」と違和感を感じるが、この違和感が物語への興味に変わっていく。
凛子と憲二それぞれの心に負った傷の深さには大小があるが、この2人が恋に落ちて再び進み始める、などという安直なストーリーではなく、ゆっくりと時間をかけて立ち直っていく様が描かれている。
時には傷が抉られるようなぶつかりあいもあるし、島の人との触れ合いで傷の痛みを忘れる時もある。心の傷は、消えることはない。克服することでもなく、忘れることでもない。傷を思い出として歩むことが、生きる道なのかもしれない。ラストの場面を見てそう感じた。
東出昌大様
さんざん失礼なことを書きましたが、貴殿の演技で感動したのは紛れもない事実です。これからの作品が楽しみです。これも、上から目線なようで、ごめんさい。
再生の時
家族を失った青年という役に今一番ぴったりのはまり役である東出君を起用したのがなんとも複雑ではあります。なんせ御本人は自業自得なので。
でもさすがに苦労を重ねたかいがあってか、彼の演技はなかなか良かった。「桐島」の頃の棒立ちに比べれば大した進歩だ。
ストーリーは人生に疲れた人間が瀬戸内海の島に来て、人々との交流を経て再生を遂げ、再び人生を歩みだすというよくあるお話。
愛する家族を失った者は、その愛が深ければ深いほどその悲しみからなかなか逃れられない。逃れるには時間と忘却が必要とされる。だが愛が強いから忘れることに罪悪感を感じてしまう。忘れたら家族を二度失うことになるからと。
しかし、悲しみの呪縛から脱却し、再び歩みだすには忘れることも必要だ。それは家族を忘れるのではなく悲しみを忘れるということ。
本作を観て、「さよならは別れの言葉ではなくて再び会うまでの遠い約束」という歌詞を思い出した。家族にさよならも告げれなかった憲二は風船を空に離して別れを告げる。そしていつか再会する時まで自身の人生を生きていこうと歩みだすのだった。
素晴らしかった
何を観るか決めずに映画館へ行き、丁度時間が良かったので観ました。
キャスティングが素晴らしく、役柄それぞれ全員が、画面の中で生きていました。
クスッと笑えるシーンもあり、泣けるシーンもあり、観て良かったです。
名古屋にて監督、俳優陣舞台挨拶を見てまいりました。 いらっしゃって...
名古屋にて監督、俳優陣舞台挨拶を見てまいりました。
いらっしゃっていない三浦透子さんの印象を聞くと、自然で
天然な方のようで、東出さんも映画のあと少しお話したら
”エゴイスト”のポスターに見入っておられ、”良かったですよ”
と言うとエゴイストの話と勘違いされ、”この映画?”と言っていて
しばらくして自分の出ている”とべない風船”と分かったようで
”ありがとうございます”とおっしゃっていて、自然な普通の人だと思いました。
映画は広島の近くの島を舞台に、主役のお二人も良いのですが、
共演者が豪華でストーリーもとてもよかったです。
出てくる一人一人の幸せを祈りたくなるように没入して見てしまいました。
地元の人が力を合わせてできた良い映画で、映画愛にあふれた監督のメッセージも
環境に配慮した風船を使っているところからも応援したい一作でした!
とても良い話、良い役者
前半は少し静かでした。昼ごはんが大盛り無料と言われたせいで(本当は自己責任)
2箇所くらい号泣しそうなポイントがありました。どちらも、親子愛というか、親の愛情の部分でした。
三浦透子は相変わらず良かったです。
東出昌大もとても良かった。今作では、子を思いやるシーンがありますので、ちょっと引っかかってしまいましたが、それでもセリフのない演技、存在感はさすがです。今後も映画での活躍を期待します。
優しい時間
鑑賞まえの舞台挨拶つきで鑑賞
普段は事前知識なしでみる方だが、舞台挨拶という形で事前に製作者からどんなことを伝えたいのか聞いた上で観るというのははじめて。
今目の前で見た演者が映画に出ていると言うのはどこか親近感もあり、また、人間関係や背景などがわかり、とても観やすい。
広島、瀬戸内にとてもこだわりのある作品、災害や、人々の葛藤を描いているということで、大体の話はわかるものの、それを上手く描けていた。
推していた多島美、島の雰囲気をみていると、何より島に住みたくなった。
俳優陣。
東出昌大は観るたびにいろんな役をしているなあ。
舞台挨拶では素直で明るい雰囲気が滲み出ていて、正反対の役柄ではあるが、これはこれでいい。漁師の顔ではないけれどそこまで気にはならなかった。
三浦透子は島外の人から、馴染んでいく姿をうまく演じていた。ぱっとみ少し距離の置きがちな印象の彼女にぴったりなキャスティングである。
そして、冒頭、島で出迎える小林薫は先週観たDr.コトーのまんまであった笑
気になったのは、場面と場面の転換や、間が不自然だったところ。
それぞれの場面はうまくできていたのに、急に切れていたり、間延びしていたりと、映画を観ているんだと現実に引き戻され、編集で苦労した形跡が感じられる。
終始、島の一部分だけで行われている印象もあり、島の魅力が伝わりづらいところもあったが、人に焦点を当てたドラマとしては、島の雰囲気もあり、優しい気持ちで自然に観ることができた。
ドライブマイカーでガツンと三浦さんにやられ、 そばかすで間違い無い...
ドライブマイカーでガツンと三浦さんにやられ、
そばかすで間違い無いと思った。
東出さんは、
絶対復帰して欲しい、絶対伸びしろがある人だから、
って思ってた。
その2人はこの映画でも裏切らなかったけど、
浅田美代子が予想外に良かった。
悲しくて、優しい映画でした。
決して忘れないよ✨
どうしようもない悲しみを乗り越え
また前を向いて生きる事は
容易ではない…
でも、生きている者は、
その命を精一杯生きて全うすることが使命なのかな。
輪郭がぼんやりしてきて、忘れていくのが怖い…と憲二は泣いていたけど…
大丈夫、忘れるはずない、忘れられるはずないでしょ、だから大丈夫。
島の人々や多島美と呼ばれる瀬戸内の景色が、とても優しく包んでくれる。
都会で傷つき、島にやって来た凛子ちゃんも
ここで癒され、充電して、また都会に帰っていく。
そんな癒しパワーがある場所✨
人にはそんな場所が必要だと思う。
多島美、ほんと綺麗だった。
この目で実際に見たくなった✨
心洗われ、元気になれそうだから✨
強い人、強がる人、強くなりたい人
瀬戸内の小さな島を舞台にした傷ついた大人の再生のお話し。
父親が生前の母親との余生を過ごす為に移住した小さな島に、教職を辞めて派遣で働いていた娘がやって来て始まって行くけれど、葬式はどこで?娘は来なかった?とちょいちょい違和感も… 。
そんな細かいことは置いといて?集中豪雨で妻と子供を亡くした漁師の喪失と再生、そして教職を辞めた女性の挫折と再生、娘と孫を亡くした男に妻を看取った後の男等々、様々な人生をみせていくドラマはとても良かった。
ただ、話しの展開というか浜遊びからの流れがなんだか取って付けた様な茶番感が凄くて少し冷めてしまった。
子役の有香も良かった
多島美の瀬戸内海にある小さな島で2018年7月の豪雨災害により妻と息子を亡くした漁師の憲二は、父に会うため島へやって来た凛子と出会った。彼女は教師だったが挫折し、自分の将来を見失っていた。そんな2人は少しずつ親交を深めていき、・・・てな話。
憂いのある演技の三浦透子が良かった。最近の教師は児童も生意気だし親もモンスターが居たりで大変なんだろうと思う。2018年7月の豪雨は凄まじかった。広島が舞台だけに、あの時の怖かったことを思い出した。
多島美の瀬戸内海は美しかったし、浅田美代子含め広島弁も自然で良かった。咲役の有香も良かった。
東出昌大も良かったのだが、彼は映画に出てるのに唐田えりかはほとんど出てこないのが不憫だ。彼女にも機会を与えてほしいと願う。
映像の美しさに埋もれないドラマが印象的な一作
浮かんでいるのかつり下がっているのか、不思議な風船が印象的なポスターですが、物語の筋そのものはそれほど不可思議なものではなく、主人公達の心の行程を一緒に辿っていくドラマとなっています。
2018年の西日本豪雨災害が物語に大きな影を落としているのですが、その描写は非常に生々しく、この災害を取り上げると知らずに鑑賞した方は少なからぬ驚きを感じると思います。『すずめの戸締まり』よりも描写としては直接的かも。豪雨災害で被災された方など、災害映像を見ることに躊躇がある場合には少し心積もりが必要かも知れません。
東出昌大演じる憲二は、かつては近隣の人にも頼られるほど活動的な島の男性だったのですが、三浦透子演じる凛子が父親を訪ねて来た時には、心を閉ざし、ほとんど誰とも口を利かなくなってしまっています。その姿はどうしても『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(2016)のケイシー・アフレック演じるリーの姿が重なってしまうんだけど、本作はさらにその先を描こうとしているところに非常に好感が持てました。
彼がなぜ黄色い風船を毎日物干し竿に括るのか、わりと早い段階で察しがついてしまうんだけど、しかしそれでも彼が風船にこだわる理由を明らかにする慟哭混じりの告白には非常に心を掴まれます。
瀬戸内の青い海と空、そして風船の黄色の対比が鮮やかで、映像的にも非常に印象的な作品です。それでいてやたら美しい多島美を長々と見せるのではなく、あくまで物語の背景としてさりげなく用いているところも良いですね。
作中ではほとんど名前しか登場しない凛子の母、さわ(原日出子)の存在感が際立っていて、むしろ彼女中心で物語が回転しているという語り口も見事でした!
実は物語は島に生きる人々、というよりもある時点から島に移り住んできた人々を中心に展開しているんだけど、「島外移住」にこだわった物語上の必然性があったのかな?このあたりは、もし機会があったら監督に伺ってみたいところです。
最愛の人を突然失った漁師と瀬戸内海の多島美と穏やかな海が織りなす物語。心に余韻の残るいい映画であった。
監督:広島県出身の宮川 博至。製作:buzzCrow Inc.
瀬戸内海の島に移住し妻に先立たれた元教師の男性(小林薫)と、初めて島にやって来た娘・凛子(三浦透子)、その夫婦と親しい交流のあった漁師・憲二(東出昌大)。憲二は西日本豪雨で妻子を失い自分を責め人が変わったようになる。
島には住んだことのない凛子が重く心を閉ざした憲二と出会うところから物語が始まる。
人に死なれることと残された者。突然最愛の妻子を失った憲二がいつまでも受け止めることのできないその死。憲二が凛子との出会いで何かが変わっていくのだ。
凛子自身も自分の知らなかった母のことや、憲二の隠された苦悩を徐々に知ることで何かが変わっていく。
それらが瀬戸内海の多島美と穏やかな海、漁師や小学生との交流のなかで自然に、ゆったりと物語が進んでいく。大げさでもなく、早いカット割りでドラマチックに見せる訳でもなく。そこがいいのかもしれない。100分という時間であったが、長く感ずることはなくずっと惹きつけられて見ていた。所々に、子どもたちの愛くるしさや漁協の個性的な漁師たちのユーモアのあるシーンなどもよかったのだと思う。
タイトルの「とべない風船」。映画の中では憲二の自宅の物干し台に括られた黄色い風船がよく出てくる。この黄色い風船は単なる風船ではないのだ。
舞台挨拶で東出昌大がこれまででやったことがなく、とても難しい役どころだったというようなことを言っていた。その言葉が示すように、その悲しみ、憤り、無力感、苦悩、そして徐々に変わっていく様子は難しかったと思うがとてもリアルで素晴らしかった。
小林薫の落ち着いた存在感や浅田美代子の優しさもとてもよかった。
音楽も落ち着いていて心和ませる自然な曲であった。
全編広島ロケでスタッフも広島。有名な役者を使っての長編第ー作は全国でも是非多くの人に見てもらいたい映画である。
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