劇場公開日 2022年10月28日

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「【”警官にだけはなるな、と亡き父は言った。”極悪麻薬組織を検挙するためにグレーゾーンで戦うベテラン刑事と、彼のチームに来た殉職した刑事を父に持つ若き刑事との関係性の変遷を描いた警察の闇を描いた映画。】」警官の血 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”警官にだけはなるな、と亡き父は言った。”極悪麻薬組織を検挙するためにグレーゾーンで戦うベテラン刑事と、彼のチームに来た殉職した刑事を父に持つ若き刑事との関係性の変遷を描いた警察の闇を描いた映画。】

2025年5月23日
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■ある警官の殺害に裏で関与したとされるエース刑事のパク・ガンユン(チョ・ジヌン)を内偵調査することになった監察室の新人のチェ・ミンジェ刑事(チェ・ウシク)。
 彼は韓国裏社会に精通したガンユンの違法捜査に加わり、やがて警察内部の秘密組織や不正行為、殉職した自身の父、チェ・ドンス刑事の死の真相に辿り着く。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・今作を鑑賞すると、容易に想起する映画は白石監督の「孤老の血」である。
 だが、決定的に違うのは、今作のパク・ガンユン刑事は、”孤老”ではなく、”警察トップ”の意向を汲んで動いている点である。
 勿論、”警察トップ”は、”述南会”の裏金に関与しているが、それは全てパク・ガンユン刑事が単独で行った事であり、パク・ガンユン刑事もそれを知りながら、敢えて”述南会”の裏金を使った違法捜査をやっている点が違うのである。
 この違いは、日本の映画の作り方と、組織犯罪(含む政治)を描くことが得意な韓国映画の特徴が出ていると思う。

・取分け、監察室のファン係長(パク・ヒスン)が、全てを知った上で、新人のチェ・ミンジェ刑事をパク・ガンユンのチームに内偵調査のために入れた狙いが、仄めかされる再後半の描き方は巧い。

・そして、チェ・ミンジェ刑事が、パク・ガンユン刑事の操作方法に則り、警察トップ及び更に上の老人に単身書類を持って行くシーンは、チェ・ミンジェ刑事も殉職した父と同じ”警官の血”が流れている事が分かるシーンであり、一時拘束されたパク・ガンユン刑事を、彼が乗っていたポルシェで迎えに行くシーンも、実に上手いのである。

<今作は、極悪麻薬組織を検挙するためにグレーゾーンで戦うベテラン刑事と、彼のチームに来た殉職した刑事を父に持つ若き刑事との関係性の変遷を描いた警察の闇を描いた映画であり、チェ・ミンジェ刑事がパク・ガンユン刑事と同様に、極悪を捉えるために”グレーゾーン”で捜査する刑事になった事を描いた作品なのである。)

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