「民話・神話を絡めたダークな恋愛模様」ノベンバー regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
民話・神話を絡めたダークな恋愛模様
自分は、映画を観る前はなるべく情報を入れずに観るようにしている。だから本作冒頭で怪しき物体(「クラット」と呼ばれる使い魔だとか)が登場した時点で、「?(ハテナ)」の嵐に襲われた。
舞台となるエストニアには、亡き先祖を追憶する「死者の日」とやらがあり、死者はその日に遺族の元に帰って過ごすという風習があるという。日本で言うお盆に近い。
寒村に住む住民は、クラットを使って隣人から物を盗み生活する。その村に暮らす娘リーナは、青年のハンスに想いを寄せるも、ハンスはドイツ人男爵の娘への恋心を募らせ…という、民話・神話を絡めたダークな恋愛が展開するが、本作ほど鑑賞前に情報を入れておけばよかったと後悔した作品はない。
初見では分からないから何度でも観たいと思わせる。初見時に「?」の嵐が吹く作品は、『イレイザーヘッド』然り『ブレードランナー』然り、後年カルト・ムービーとして評価されている。最近観た『マッドゴッド』同様、本作も間違いなくその系譜にあると思う。
「全てのものには魂が宿る」という、所謂アニミズムを具現的に描いた一本ともいえる。
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