「社長にプレゼンするところがピークであとは蛇足展開」MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない 東鳩さんの映画レビュー(感想・評価)
社長にプレゼンするところがピークであとは蛇足展開
タイムループを会社員の”月曜日が憂鬱”というあるあるに設定したのはすごく上手いアイデアだなぁと関心したし、観に行きたくはなったんですが、ちょっとウーン?な映画でした。
これも会社員あるあるですが、上申制度で順番に上司→上司→上司とタイムリープしていることを気付かせて、ついに社長に到達。
またなんどもプレゼンしてタイムリープしていることを社長に気付かせる、ところがピークであとはずっと蛇足展開ですね。
上申制度も上司を口説くのは同じことの繰り返しなんでだるい展開が続くんですが、タイムリープものはまず設定を説明したり伏線をまく一週目が冗長なのは仕方ないことなので、これから面白くなるんだろうとガマンはできました。
それで、グリーンブレスレットの呪いはまぁ良しとして、マンガ家になりたい夢を諦めきれないが原因だったとしたら、それはもう”月曜日が憂鬱”というお題目からは逸脱しているというか。
ブレスレットの呪いだと早く終わってしまうのでもう一展開ほしいのは当たり前なんですが、そこからマンガ家の夢はやっぱり別の話というか、別の話をムリヤリくっつけてショートしている脚本の粗を誤魔化しましたね。
子供の頃の夢を叶える話と会社員の仕事の話は別物です。
カメラと編集がうまくてテンポがいいから尚更脚本の不自然さを誤魔化せてしまっているんですが、この映画を面白いと思っている人はリテラシーが低い人でしょう。
本編内で引用されていましたが、恋はデジャブとAll You Need Is Killとハッピーデスデイをちゃんと観ていたら、タイムループものとして数段下であることが分かるはずです。
関係ないですけど、タイムリープもので恋はデジャブを言っておけば通みたいに思っているヤツが嫌いです。あれは古典として名作であることは間違いないですが、それ以降に作られたタイムリープものでちゃんと大ヒットした映画は恋はデジャブよりももっと高みにいってますからね。
恋はデジャブだけを持ち上げて、他のタイムリープものを腐さないでほしいです。
そのレベルにも無い映画なのに。
別の話をくっつけている問題の他にも、タイムリープしている原因が社長にあると初期から断定しているのが超ご都合だし、映画の中の世界がまったく閉じていません。
会社の外には出られるし、1週間という時間単位が長いし、家に帰って寝ている時間もあるでしょう。
それなのに、なぜ会社の中にタイムリープしている原因があると思うのか?
それが社長だと思うのか?
その辺が超ムリヤリにご都合でやってしまっているので、話に入っていけませんでした。
ピークといっても、それは出演者のコメディアンヌとしての才能で笑わされてしまっただけで、はっきり言うとすごいウソっぽくてリアリティの無い脚本です。
鳩のハンドサインで机バン!されると他の人もタイムリープに気付く、っていうのがすごいウソがあります。フィクションでもそんなご都合は許されません。
というか、それを家に帰ったときに家族や恋人にすれば、ストーリーがそっちに展開するはずだし、それをしないであくまで会社の中だけで展開させているのがもうダメダメなんです。
恋はデジャブとかAll You Need Is Killは時間と場所を限定させる理由がちゃんとありました。
タイムリープのルールから逸脱しないように、脚本の中でちゃんともっともな理由付けをして世界が拡がりすぎないような制限をかけているんです。
この作品にはそれが無い。だから、逸脱していくのが自然なのに、なぜかご都合で会社の中だけで話が展開していくんです。
そのために登場人物の言動や行動原理がちょっとずつウソになって、こっちはどんどん白けていきます。
あと、引き抜きしようとしている別会社の人たちの記号的な性格の悪さ。
キャラクターとしての薄っペらさ。
可愛くない女性社員に「やっぱりこの会社が好き」と言わせる結末ありきで登場人物を作っているから薄っぺらくなりますよね。
TAKEC?というユニット?がストーリーを考えたことになっていて、監督とあともう1人が脚本でクレジットされていて、それ以外にも脚本協力で10人以上の人の名前が並んでいて。
その誰も知らない人なんですが、まぁそれだけのマンパワーで脚本作ろうとしても超えるべきハードルを越えられてなかったですね。
人海戦術で面白い脚本になるなら苦労しないです。
1人でいいから面白い脚本を書ける人を連れてこないと。
偏差値45ぐらいの人が大勢いても、偏差値75の問題は一生解けませんよ。
あと、本編の内容とは関係無いですけど口コミで大ヒットさせようという宣伝手法が気持ち悪いです。
面白かったら各人が勝手に面白いと言うでしょう。
それを観客にSNSで何かさせようさせようとしている宣伝が鬱陶しいと感じました。
宣伝が気持ち悪いと思う映画はだいたい配給宣伝がPARCOです。