劇場公開日 2022年11月18日

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「気高く生きる勇気をもらえる清々しい作品」ミセス・ハリス、パリへ行く prishouさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5気高く生きる勇気をもらえる清々しい作品

2023年1月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

幸せ

なぜ映画を観るのか。
いろいろな理由はあるけれど、観た後の幸福感、爽快感というのは、多くの人にとってその理由のかなり上位に位置づけられるのではないかと思う。

出来すぎたストーリーではあるものの、本作は前評判に違わず、エンターテイメントとして良質な、実に清々しい気持ちにさせてくれました。

戦争で夫を亡くし、家政婦として慎ましく生活する中年女性が、勤め先の裕福な家でクリスチャン・ディオールの500ポンド(今の日本円で250万円〜400万円!)するドレスに一目惚れし、努力に幸運も加わり、ついにパリのディオール本店へ。

訝しがられつつも、次々にディオールの客やスタッフが彼女の魅力に引き寄せられ、影響を与えていく様が、気持ちいい。

高い教養があるわけでも、育ちが良いわけでもない(たぶん)彼女に、なぜ、皆、引き寄せられるのか。
家政婦として真摯に仕事をしながら、ディオールの完璧な仕事を賞賛し(そもそも彼女はドレスを誰かに見せびらかしたいわけでなく、どうやらその「完璧な仕事」に惚れ込んでいる様子)、おかしいことを「おかしい」と言う。

そんな彼女に(苦難がありながらも)幸運が訪れるのは、観ている私たち庶民にとって、実に清々しく、スクリーンの前で拍手で讃えたくなる。

そう、私たちは他人と比べて嘆いたり荒んだりすることなく、目の前の仕事に真摯に向き合い、周りにいる人たちを尊び、助け、自分自身も蔑むことなく愛し、気高く生きる。そうしているだけで自然と幸運は舞い込むもの。
そんなことを信じさせてくれる作品でした。

ハリスさんのように、目をキラキラさせながら歳を重ねていきたい。そのためには、今の仕事に全力を注ぎ、まわりの人たちを大切にしようと思う。

prishou