劇場公開日 2022年11月18日

「🇺🇸の病巣。🦞が鳴く鳥になりたいと。。。」ザリガニの鳴くところ コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0🇺🇸の病巣。🦞が鳴く鳥になりたいと。。。

2023年8月24日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

怖い

内容は、舞台はアメリカはカロライナ。1969年に起きたチェイス殺人事件の深層に迫る被疑者・主人公カイア(湿地の娘)の話。果たして彼女はチョイスを殺害したのか?殺害していないのか?!印象的な台詞は『自然に善悪はないのかも、生きる為の知恵よ』自分の絵画が認められる様になって会食での一言。食事を摂りながらの話はかなりキツくて笑いました。そして『彼等が裁くのは私ぢゃない。彼等自身よ!』との叫びは上手いミスリードだと感じました。この問題提起の内容のすり替えは、BLM等過去多数の例あるアメリカの民主正義のなせる技だと感じます。大多数の人が深く思いを寄せる所に切り込む問題提起は面白くも感じました。印象的な場面は『そして父も去った』簡単にサラッと流されましたが、あの土地に固執し続ける原因は父親も排除したのかも?!何て考えてしまう怖さがあります。戦争体験で性格も人格も変わってしまった父親の表現が伝わり戦争後遺症の悲惨さと戦争を逃れた内地に潜む人のバイアスも分かりやすく描かれていた所が面白かったですし、対照的にヤンキーチェイスの様なベトナム戦争時代に兵役拒否した若者の心模様が垣間見れて面白いのです。印象的な映像は、アバンタイトルのアオサギが湿地〜浜辺〜沼地まで全景を説明する様に見せてくれる自然の風景が美しく驚きました。最後まで見ると鳥になって自由になりたかった主人公・ザリガニの魂の泣き声が聞こえて来そうで文学的で感傷深い正にカタルシスの解放。『湿地の奥にあるのが本当の沼・ザリガニの棲家』サルオガセモドキの様な着生植物も朝夕の陽光も全てそれだけで素晴らしく、大自然それだけで楽しめました。何よりもザリガニ🦞は鳴かないのですが、硬い殻に覆われたザリガニが鳴く様に人造国家アメリカ🇺🇸の声なき声を代弁するような攻め具合が叙情的に表現されて良かったです。内容が内容だけに子供には見せづらいのが難点ですが非常に実験的で面白い作品だと思います。自分は4回程観ましたが何回見ても面白い作品だと感じます。また原作も読んだみたいと思わせる映画です。

コバヤシマル
りかさんのコメント
2024年4月2日

コメントありがとうございます😊
ひゃ〜、凄い⁉️
でもその方が納得できます。しかし、主人公が幼い頃に父がいなくなったということは、幼いカイヤが⁉️湿地を上手く利用して⁉️
でも、納得できるのが怖いです🦁

りか
りかさんのコメント
2024年4月1日

こんばんは♪
たくさん共感コメントいただきましてありがとうございました😊
本レビューでの湿地の自然の描写大変詳しく書いていただいていて
知らなかったことばかりで、
ありがとうございます😊いつも印象的な〇〇と書いていただいていてよくわかります。ちなみに、
父をも殺した、と考えてられますか?

りか
コバヤシマルさんのコメント
2023年8月26日

コメントありがとうございます。本当に大自然を余す所なく映し出す素晴らしい映像美でした。大きなスクリーンで観れなかったことが残念です。

コバヤシマル
humさんのコメント
2023年8月26日

コメントありがとうございます。
手つかずの自然でカイアが暮らす描写に目を見張る作品でした。
野生の一部として生きるカイアの野性…それを踏まえると〝父が去った〟ことは、野生のなかの法則と無関係ではなさそうですね。人間社会にしかない戦争を経験した影響を隠せない父は、もはやカイアの目には
排除の対象であったのかと。それだけ本来の姿をかえてしまう戦争の醜さを感じさせた表現なのかもと思います。また観たくなりました。

hum