わたしの見ている世界が全てのレビュー・感想・評価
全4件を表示
タイトルなし(ネタバレ)
兄弟は他人の始まり。この三人は、皆独身であったので、母親の死で少しでも協力し合えたと思う。
しかし、残された居抜き物件はシャッターを降ろさざるを得ない。
賃金の地盤沈下を生んだ成果主義に敗れし物語。
その間に日本は終身雇用も年功序列もなくしてしまった。
【天上天下唯我独尊女性が生きる道。けれども、彼女が上から目線で見ていた兄弟達が不器用だが一生懸命生きる姿を見て女性が自らの生き方を顧み、人間として成長しようとする姿を描いた物語。】
■熊野遥風(森田想)は家族と価値観が合わず、大学進学を機に実家を飛び出し、ベンチャー企業で活躍していた。
しかし、目標達成のためには手段を選ばない性格が災いし、パワハラを理由に会社を退職に追い込まれる。
復讐心に燃える遥風は、兄弟が暮らす家を売り、新規事業を立ち上げて見返そうとする。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・森田想演じる遥風の口癖は、”使えない奴は、ドンドン切ってく!”である。イケイケドンドン、根拠なき自信に満ち満ちたパワハラ女である。
且つての自分を見ているようで、多いに共感しつつ、多いに反省する・・。
・そんな、遥風の兄弟達は、彼女にとっては使えない奴に最初は見えている。
長女の実和子(中村映里子)は離婚し、実家の家業のフードセンターを営んでいるし、長男の熊野啓介(熊野善啓)も実家が農家の妻明日香(堀春菜)から離婚を切り出され、弟熊野拓示(中崎敏)に至っては、怪しい商売に手を染めている。
ー だが、遥風が実家を売る!と彼らの生活を考えない事をぶち上げた事で、家族の絆はドンドン離れて行くのである。-
■遥風が明日香の農家作業を手伝いながら、日射病でダウンしたり、新規事業を立ち上げようと首になった会社から引き抜こうとした後輩の憲太郎(三村和敬)と連絡が付かなくなったり、拓示がヤッパリ上手く行かない状況などを経験し、遥風は自分の”天上天下唯我独尊の生き方に疑問を持っていくのである。
<今作は、天上天下唯我独尊の生き方を貫いて来た女性が、今まで上から目線で見ていた兄弟や周囲の人達も、夫々に必死で生きて居る事に気付き、今までの生き方を鑑み、人間として一歩成長しようとする姿を描いた作品なのである。>
「その先の言葉を私は探し続けた・・・」
かなりかなり手厳しい作品である 勿論、内容云々ではなく、自分に当てはまるジャスト映画の中の人と同じ境遇だからである なのでこれをフィクションだとは全然思えず、よくもこういう題材をピックアップした制作陣に敬服する以外に手段はない 一体どこからこういうアイデアを着想するのだろうと逆に訊いてみたい程である
それに作り物だと思えない最大は、この4人兄弟のそれぞれの性格が違うという点 自分も4人兄弟だからよく分る 同じ環境で育っているのにまるで性格が違うという自覚があるから 勿論、その家族の時間の移り変わりで出来事が違っているのだからそれが影響することは当然だ
公式サイトでの監督のコメントを考察サイトの引用で読んでみたが、日芸の首席卒業のエリートが語るには口幅ったい人類愛に溢れた弱者に依り沿うストレートなテーマであるらしい なので、主人公を糾弾するといえばオーバーかも知れないが、昨今の映画『怪物』のテーマにも近似している 勿論、ファンタジー要素は一切無く、あくまでドライな仕上がりで、そこも又好感が持てる仕上がりだ
自分は、長男ではあるが、今作の長男ほど人付き合いや顧客の世話をあれ程は焼けない位のメンタリティの弱い人間である なので次男のニートの部分がかなり重なる そんな中で末っ子の妹の勝ち気な性格が色々引っかき回す末に、末っ子以外の3人の団結した行動に、改めて気付くことを描いた構図は秀逸である
もしかしたら兄弟達の良い部分がこの歳になって改めて気付く、そういう流れを描いたという点で、プロットの素晴らしさを噛みしめる作品であろう
余りにも自分事のような作品、大変ありがたいと感じたのである
こくベジ
全体を覆う雰囲気と自然な演技が心地よかった。
言ってることは間違っていないものの、合理主義が過ぎて軋轢を生む主人公。
自らの目的のために兄姉弟の背中を押し、それは結果的に家族を良い方向に進ませるのだが、自身は。。
非常に現実的な内容をリアルに描いており、良くも悪くも説明的なところがない。
知らない家族のゴタゴタを傍から眺めてる感じ。
司や明日香、長女の娘など役目を終えたキャラのほとんどがパッタリと出てこなくなる。
次男の自立や憲太郎の件も宙ぶらりんで、基本的に「その後はすべて想像してください」という設計です。
正直、他はまだしも主人公の“次の一歩”だけは描いてほしかった。
遥風の変化に対して、賢太郎の失踪以外は因果が薄く感じ、群像劇と見るには掘り下げが浅い。
悪くはないのに、何とも感想の持ちづらい作品でした。
個人的には明日香との距離感が好きだったので、義妹になった後の関係を見てみたかった。
全4件を表示