「見え過ぎちゃって困る」ストレンジ・ワールド もうひとつの世界 ばるすパパさんの映画レビュー(感想・評価)
見え過ぎちゃって困る
ディズニープラスで視聴しました。音楽を作る時に曲が先か詞が先かってのがあって、それぞれにメリットがあると思います。映画等の作品を作るにしても、設定や世界観等イメージやアイデアが先にあって、そこにテーマや思想性を練り込む場合と、先に伝えたいメッセージがあって、それに肉付けしながら世界観を構築する物があります。どちらの場合にも名作、駄作はあるのでどっちが先かより、テーマと世界観が如何に調和しているかの方が重要で、この映画の駄目な部分はそれが調和していない部分なのでしょう。
どのジャンルの作品にも「テンプレ」は存在し、ヒット作品を狙うならば過去の「ヒット作品のテンプレ」を使った方が成績をある程度計算できます。この作品にもアメリカ映画の「父と子の対立と和解」、「個性尊重」と言ったよくあるテンプレが練り込まれていますが、お話の世界観やキャラの魅力よりもメッセージが目立ち過ぎなんですよ。それも伝えたいメッセージが過剰。それでもクリエイターが本心から伝えたかったテーマならば世界観とも違和感なく調和したのでしょう。おそらくストレンジワールドはこの世界観の企画書があって、そこにクリエイターではなく「企業理念」を後付したのでは無いかと思うほどメッセージが見え過ぎなのです。一昔前の文部省選定の安い道徳教材映画みたいに。同じ企画書を10年前にジョン・ラセターが作っていたら世紀の傑作になったかもしれません。ポリコレ映画を作るにしても、自己主張より先に物語が魅力的で無かったら単なる説教ビデオ。やりたい事とは裏腹に反発を招くだけ。説教するために肉付けした違和感あるエンタメ部分が滑ってるというのが感想。
コメントする