「フェイク・ストップモーション・ドキュメンタリー?」マルセル 靴をはいた小さな貝 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
フェイク・ストップモーション・ドキュメンタリー?
一種のフェイクドキュメンタリーのスタイルで撮影されており、合成も違和感がないので、リアリティがある。アニメーションであり実写映像でもある、ハイブリッドな作品で、技術のコモディティ化による現代的な感性によって作られている。今後、こういう感覚の作品は増えていくだろう。アニメーションキャラクターと生身の人間が違和感なく、特に説明を必要とせずに当たり前に共存しているという感覚だ。
マルセルの会話がウィットに富んでいて飽きることがない。カメラの後ろにいる監督とのやり取りは気心のしれた友人といった感じで、映画を観ているこちらに話しかけてくるような構図になっているので、自分もその場にいるような感覚を味わえる。ところで、これが長編アニメーション部門の要件を満たすと判断されたのはちょっと驚きだ。全編の75%以上がアニメーション映像じゃないといけないんじゃなかったか。
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