「意図を拾うのが難しい、高知のロケーションは魅力的」はだかのゆめ たいよーさん。さんの映画レビュー(感想・評価)
意図を拾うのが難しい、高知のロケーションは魅力的
スコアを付けるのが難しい…。こういう静かなタイプの映画は自分のタイプではないし、曖昧なモノをそのまま美しく観れるかと言えばあまり得意ではない。ただ、Q&Aによって咀嚼出来たのは東京国際映画祭ならでは。その中での言葉を交えながら。
本作は曖昧なモノばかりで出来ている。死と生に始まり、作品の定義も明確に当てはまるモノは無いだろう。だが、それを受け入れた時、自身がかけていた色眼鏡のフィルターが取れる。そして作品に新たな色がついていく。生まれながらにイエス/ノーを持つのが自然だった私にとっては、ある種の新鮮さを感じる。描きたい事が起承転結している必要は別にない訳で、それに対して違和感を抱く必要もないのだ。
ただ、その作品が自身に合うかは別問題。言葉が転がっている方が好きな自分にとっては足りない部分が多かった。ノートに書かれた文字が読みにくいまま作品のピースを担っていたり、無意味なモノに意味を持たせたり、委ねられる部分も多い。悪いことではない。ただ、その作家性に惹かれる部分が少なかったまでである。
主演は青木柚さん。すっかり多くの作品で観るようになった彼だが、どこか幻想的な今作においても染まる魅力を感じる。自然と調和しながら、曖昧に過ごしていく姿は惹きつけられる。また、前野健太さんの佇まいも効果的に使われている。なんかいい、それでいいと思う。
東京国際映画祭はそうした消化不良を、意図を汲みながら再解釈できる機会がある側面がある。実際に観て終わっていたらこのスコアにはなっていないはず。つまり、ある程度知った上で観たほうが今作の良さが滲み出るのではないかと思う。
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