「【”我が生涯に一片の悔い無し!”今や世界を席巻するジャパニメーションの創成期から、声優業界を牽引して来た内海賢二さんの半生を、多数の声優のインタビューを絡ませて描いた作品。】」その声のあなたへ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”我が生涯に一片の悔い無し!”今や世界を席巻するジャパニメーションの創成期から、声優業界を牽引して来た内海賢二さんの半生を、多数の声優のインタビューを絡ませて描いた作品。】
ー 1960年代から、アニメの声優や俳優として活躍してきた、故内海賢二氏の半生を、現代でもジャパニメーションを牽引する、羽佐間道夫(80歳オーバーにして、矍鑠としている。)、野沢雅子、山寺宏一、戸田恵子、水樹奈々という、滔滔たる声優陣へのインタビュー、及び妻野村道子さん、長男で内海氏の会社を継いだ内海健太郎さんへのインタビューを通して、その人柄、偉業を表したドキュメンタリー作品。ー
◆感想
・インタビューの際に、多くの方が口にするのが
”内海さんが、スタジオに居ると周囲が明るくなった。”
”太陽のようだった。”
”緊張している私の声を掛け、リラックスさせてくれた。”
”誰にでも、気さくに声を掛けてくれた。”
という、賛辞の言葉である。
そして、実際に映像を見ると、正にその通りで、上背はないが、アルトからテノールの音域の美声を明るく、大きく響く声で披露している。
・知らなかったのは、創成期の声優さん達の殆んどが、舞台俳優を主な生業としていて、声優は副業であった事である。
それが、声優業界の低賃金に繋がっていく箇所は、”そういう事か・・。”と思いながら観ていた。
ー 今は、創成期の声優さん達が、当時、決死のデモ行進をしたりして、だいぶ改善されているようではあるが・・。業界全体としては、マダマダ不安定なのだろうな・・。-
・洋画の吹き替えが本格化して、声優たちの仕事も増えていく様。
有名海外俳優の吹き替えが、固定して行ったのも、この頃か・・。
内海さんも多数のCMに主演されている。
<だが、内海さんは癌に斃れる。
そのことに触れると涙ぐむ多くの声優さん達。
そして、彼の告別式には1000名を越える方が出席する。
何よりも、死の間際に妻である野村道子さんにはっきりとした声で”愛している”と言ったという話は沁みた。
男として、内海さんは、立派な人生を生き切ったのではないかと思ったドキュメンタリー作品である。>