「真実を知ることが必ずしも有益であるとは限らない。」映画 イチケイのカラス 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
真実を知ることが必ずしも有益であるとは限らない。
はじめから終わりまで、ほぼ想定内の展開。竹野内豊と黒木華を鑑賞する目的ならば善し、としましょう。ストーリーは結局、地方都市にありがちな、企業と地方自治体と住民の三すくみの馴れ合いの社会。例えば、福島の原発のように。利害が絡み合っているから、自浄作用は働かないんだよね。「毒を喰らわば皿まで」が、いつしか正義になっていく。違和感を持ったとしても、まるでムラ社会を支配する因習のように、周りからの同調圧力に屈してしまう。だからこの映画のように、外部からの劇薬(今回は坂間千鶴と月本真吾)で目覚めさせてもらうしかない。いろいろな立場の人間が、それぞれが信じる正義や守るもののために、わが身の犠牲も厭ない、そんな姿がクライマックス。
しかし、フジテレビは、ドラマの劇場版となると、どうやら毎回決まって大仰なイベント会場とかが舞台(先日のガリレオしかり)になることが多いなあ。音楽隊とかを登場させて、その派手さで、お金を払う映画館での鑑賞動機につなげようとしているのだろうか。先日のスペシャル版がTVだからタダで見れたことを考慮すると、あまりクオリティの変わらぬ本作を映画館で見る価値はどこにあるのだろうか。
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