NOT BEERのレビュー・感想・評価
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発泡酒でも旨けりゃオッケー
『夜のまにまに』の永瀬未留を目当てにチェックしてたら、主演は『パラフィリア•サークル』の人やん。
序盤、かなり大袈裟なコメディ芝居にやや戸惑う。
冒頭はまだいいのだが、通夜になると詐欺師2人と他2人の温度感が違いすぎるのだ。
この辺は早妃が酔っ払うあたりから解消されてくるが、リアリティラインの引き方に困ってしまった。
まぁ、結果バカ映画だったわけですが。笑
詐欺師と早妃の嘘は、それこそDNA鑑定なんか考え出したらすぐバレる。
辻が証拠映像を消そうとしないのは単にいい人だから?
そもそも通夜が鮫島たちとの約束の日で、たまたま土砂崩れがあって、とか偶然にもほどがある。
持病の薬を飲まず半自死、とかじゃなきゃ成り立たん。
“最後まで残った人物”を見届ける人も必要なハズで、弁護士は参加しちゃダメだろ。
結局ハルエさんは(押切が正体を明かしてない以上は)無縁仏だったわけで、誰が通夜を開いたのか。
まぁ、そういうツッコミを入れる作品じゃないのだろう。
早妃や辻の正体や動機も綺麗すぎて、もうひと捻りあると思ったらそのまま。
最後、鮫島が朝目覚めたときも誰かが全部掻っ攫ってるのかと思えば、平和な終わり方だった。
そういった面で、“騙し合い”に関しては肩透かし。
コメディもつまらなくはないが振り切れてもおらず、どちらにも中途半端な印象は拭えない。
ハルエさんの真意も、亡くなってること以上に上述の偶然性によってスッキリとはならないし。
楽しかったのは楽しかったけど、あくまで人情コメディかな。
押切がやたら半裸になるのは女性向けサービスだろうが、だったら風呂に入るところは早妃さんに譲(以下自重)
それにしても、サスガにサクラレビューが多過ぎる…
おっと、そこまでは想像してなかったぞ!
この作品の魅力は、嘘と本音の境界線だと思います。嘘を抱えた登場人物が遺産を得るために策略をたて、物語が進むにつれて露わになっていく本音。この過程が、絶妙なバランスで創られており見やすく理解しやすい作品だと思います。また、家族や他人とのつながりなど通夜という場で偶然集まった他人同士が、騙し合いを通じて次第に心を通わせていく様子は、血縁や過去にとらわれない新たな「家族」や「絆」の形を提示しているように感じました。
面白かった
俳優さんの演技がかなり良かった。また、画面の構図も面白いカットが複数あり、見ていて飽きない。
葬儀の後の遺産をめぐる争いにもかかわらず、見事にコメディタッチで描かれていて各人物たちの個性や思惑が絡み合い、一つの狭い家の中で繰り広げられる濃い騒動を存分に楽しむことができた。
それぞれの持つ嘘が明らかになっていく中で、途中の押切に関するストーリーは驚きを持って楽しめた。
ただ終盤にかけて少し分かりやす過ぎる展開で、伏線や終盤にかけての匂わせが多かったこともあり、予想できる範囲すぎてそこまでラストの展開にはあまり驚けなかった。
意味のある嘘
登場人物全員が嘘をつき合っていたが各々誰かを守るため、誰かのために嘘をついていただけで本当は全員心優しく日本人らしい掛け合いで見終わった後はとても優しい気持ちになりました。
騙し合いの極地
予告映像やポスターを見て気になっていた作品だったので見ることが出来て良かったです。あらすじの段階で全員が嘘つきと分かっていたのに、まんまと騙されてしまいました。終始ハラハラドキドキするのかなと思っていましたが、最後には心温まるお話で感動しました。
閉ざされた古民家を舞台に繰り広げられる曲者達の騙し合いから目が離せません!
かつて、死者に踊らされる人々の様をこれほど、幸福感溢れる姿で描いた作品はあったであろうか。アルフレッド・ヒッチコック監督作品「レベッカ」、市川崑監督作品「犬神家の一族」と、死者に踊らされる人々の様を描いた作品と言えば、こうした作品が思い起こされ、大半がサスペンススリラー映画である。「NOT BEER」は死者が登場人物達を翻弄しながらも、観客を幸福感溢れる気持ちへと誘因する稀有で特筆すべき作品である。
二人組の詐欺師(玉城裕規、相馬理)が一人暮らしの老女(金子早苗)を騙すのに成功し、約束した日に集金に出かけると、老女の通夜が孫の早妃(永瀬未留)により執り行われていた。型通りの参列を済ませて帰ろうとすると、悪い事は重なり悪天候に阻まれて帰れなくなってしまった。すると、参列していた弁護士(伊藤慶徳)が「財産を通夜の日に最後に残った人に相続する」という老女の不可解な遺書を読み上げる。ここに、居残った二人の詐欺師、弁護士、早妃、合わせて四人のサバイバルゲームが始まる。実は四人それぞれには秘密があり、徐々に秘密が明かされつつの騙し合いが朝まで痛快に繰り広げられていく。
元々は舞台上演された作品を、舞台の脚本に沿って忠実に映画化した作品である。人里離れた場所にある小綺麗な古民家をロケ地に選んで撮影した映像からは、古民家の木造の柱や畳の匂いの漂うかの雰囲気が醸し出されている。その小綺麗で落ち着いた閉ざされた空間の中、四人の曲者俳優陣により、先の読めない展開のドラマが、終始緊張感を保ちながら繰り広げられていく様は痛快である。舞台作品の映画化でありながらもロングショットが少なく、幾つもの細かいショットが絶妙に編集された結果、流れるかのようなスムーズな映像を構築しているのが特筆される。しかも、撮影は順撮りで1台のカメラで撮ったとのことであり、監督の中川寛崇の撮影、編集の技量の高さが伺われる。
ノミネートされた2022年の田辺・弁慶映画祭では、残念ながら無冠に終わったが、いよいよこの5月に劇場公開される。多くの観客に観て感じていただきたい作品である。
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