「感心はしたけど、1度見れば満足かな・・・」映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア) 一さんの映画レビュー(感想・評価)
感心はしたけど、1度見れば満足かな・・・
とても丁寧に作られた映画だなという印象を受けました。
感心したのが伏線回収です。
伏線回収といえば南極カチコチや原作版・大山版宇宙小戦争ですが
大小ふくめ細かく伏線が張られ、丁寧にわかりやすく回収されているので
2作以上に良いギミック・鑑賞の楽しさにつながっています。
過去作(海底鬼岩城や宇宙漂流記、ひみつ道具博物館など)をオマージュしてるんだろうなというシーンもあり、
主要キャラのピンチの陥り方も、ここまでやるんだと、挑戦する姿勢に感心しました。
ゲスト声優も、ここ数年は演技にかなり強い違和感を覚える方が多かったのですが、今作は本業の声優並みには及びませんが、映画の印象を悪くするほどではありませんでした。
テンポも速いので、長いと感じることなく映画が観終えることができました。(個人的には宝島以降の映画ドラのテンポは速すぎるように感じますが・・・)
マイナスポイントとしては、
空への憧れの扱いが雑・教訓じみている・ゲストキャラクターへの感情移入のしにくさ・音楽が仰々しい点が気になりました。
空への憧れについては、オープニングムービーで映された空への挑戦の系譜や作中ののび太がしずかちゃんを誘うセリフ、空を飛ぶ道具が度々登場するなど、あちらこちらに空を飛ぶロマンを訴えていましたが、いまいち請求しきれていないというか、魅せるシーンがないためセリフやコマの端々でなんか言ってるなーぐらいの印象しか残りませんでした。
作品のテーマが手垢の付いたもので、子ども向けにわかりやすくしているためか、教訓じみているように感じました。作中のキャラの主張が昨年の映画の宇宙小戦争2021と被る部分があり、昨年の方がセリフを出すタイミングや演出が良かったため、既視感を覚えるとともに見劣りがしました。
ゲストキャラクターが複数登場しますが、ソーニャを除き、扱いがあっさりしており今いち感情移入できないというか、常に意識の外にいる感じでした。
また音楽がやけに耳につくというか、こうしときゃ感動するんだろとかとりあえず音量あげときゃいいだろ的な荒さを感じました。
随所に散りばめられた伏線はとても良いなと思いましたが、ストーリー自体は冷めてしまうものでした。
ただ今作の監督や脚本の方々なら良い映画ドラえもんで出来上がりそうという予感があるので、今後の作品に期待したいなと思います。