「60年代にあったシャングリラにいた人達に激しい嫉妬を覚えました」ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド よねさんの映画レビュー(感想・評価)
60年代にあったシャングリラにいた人達に激しい嫉妬を覚えました
1968年カナダ人のポール・サルツマンは映画撮影の録音技師としてインド滞在中に祖国に残してきた彼女にフラれて自暴自棄になりマハリシの僧院を訪れたらそこにはビートルズがいて、彼らと8日間過ごしました、という話。こんなとんでもない宝くじを当てたにも関わらず本人はそのことを32年間忘れてしまっていて、自宅の倉庫からバカみたいに貴重な写真がザックザクみたいなウソみたいな話もありますが、圧巻なのはその8日間の回顧録。物凄い富と名声を得た彼らが求めたものは富とも名声とも無縁のもので、数々の写真に写っている4人の穏やかな表情は眼福としか言いようがないです。そして猛烈に興味深いのは『ホワイト・アルバム』に収録されることになる作品群の作曲過程の話と当時そこにいた人達へのインタビュー。個人的には“バンガロー・ビル”が出てきたのにはビックリしました。
そんなバカ羨ましい男サルツマンに猛烈に惹かれたのがデイヴィッド・リンチで、製作総指揮の傍ら物凄く楽しそうにビートルズを語る姿がキュートです。ナレーションをモーガン・フリーマンが担当しているという売りでしたけどそこはほとんどどうでもよくて、1968年という自分が生まれた年にシャングリラが実在したのだということに対する猛烈なジェラシーに胸が焼かれました。
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