「話せる人がないので感想を書き尽くします!」エゴイスト UKさんの映画レビュー(感想・評価)
話せる人がないので感想を書き尽くします!
宮沢氷魚さんきっかけで映画を知り、ずっと公開を楽しみにしていました!
原作も購入しましたが、まずはまっさらな状態で観たくて読まずに観に行きました。
予告編を何回も見ていたので、このシーンはこの部分だったのか、このセリフはこの流れだったのか、と噛み締めながら観ました。
冒頭〜中盤まで、予想以上に刺激的なシーンが続き驚いてしまいましたが、けして下品ではなく美しくて見惚れてしまいました。
(友達同士とか親子で見に行く予定の方はちょっと注意ですね)
カメラワークが独特なのか、まるで自分が空気になったような、2人をすぐ近くに感じて、映画の中に入り込んでしまったような感覚になりました。
2人の息遣いまで伝わってくるようなリアリティに、圧倒されます。
どういう目的で見るかは自由ですが、同性愛の部分だけ取り沙汰されてBL娯楽作品として消化されたくはない作品。
異性愛も同性愛も親子でも関係なく対象がなんであれ、愛するということはエゴがつきまとうんだと考えさせられました。
自分が相手にできることは、なんでもしたい。
口先だけの出まかせではなく、行動に移して相手に尽くす。
なかなか出来ることではありません。
その献身的な浩輔の愛を、受け止める覚悟をするのもきっと愛です。
自分のために見返りも求めずこんなに尽くしてくれる人がいたとして、怖くなるし、相手から搾取しているような申し訳ない気持ちになるし相手を利用しているんじゃないかと自分を責めてしまいそう。
見返り、強いて言うとしたら傍に居てほしいだけなんですよね。
でも、それができなくなっても龍太のお母さんへ変わらず尽くす浩輔が痛々しくもあり、、。
お母さんにできなかったことを、龍太のお母さんにすることで間接的に過去の自分が救われる。
これも、相手のための行動ではあるけど自分のためでもある。
浩輔は、自分がこんなに尽くしてやったのに!よくしてあげているのに!という押し付けがない。
(実際、描かれてない部分ではそう言う葛藤もあるのかもしれない)
それどころか、これは自己満足なんじゃないかと思い悩む。
こんなに美しく相手を思う気持ちがあるのかと、感動しました。
龍太の無邪気な笑顔とピュアな表情の裏に隠された葛藤も、苦しさが伝わって辛かった。
自分の置かれた環境を恨むこともあっただろうに、前向きにひたむきに目標を追いかけて。
浩輔と出会えて本当によかったと思う。
感情移入しすぎて、たびたび不穏な空気を感じては何か起こるんじゃないかと恐る恐る観ていました。
もう、ストーリーとして成り立っていなくていいから2人の日常をずっと見ていたかった。
2人で、龍太のお母さんの闘病を乗り越える結末を見たかった。
鈴木亮平さん、宮沢氷魚さん、阿川佐和子さんが本当に素晴らしくて、何度も観たくなる大切な映画になりました!
こんなに一本の映画に真剣に向き合えるなんて自分でも驚きでした。
映画を通して、物語を楽しむというより自分の生き方や考え方にも向き合えた気がする。
映画の感想としてはズレているかもしれないけど、今の自分が持っているものや環境を大切にしようと思いました。
ないものばかりに目が入って、上ばかりみて自分はこんなに恵まれていない、努力しても報われないと不貞腐れていたときだったので今この映画を観れたことに感謝です。
これから原作とパンフレットを読んで、また観に行きます!
追記ーーーーーーーーー
原作を途中まで読んで2回目、
読み終わってから3回目を観ました!
原作だと浩輔目線なので、どう思って、考えてその行動をとっていたのか知ることができました。
原作を読まずに観た1回目では、なんて献身的で美しい形の愛なんだろう、エゴイストというには優しすぎるのでは?と感じる部分もありました。
しかし、原作を読むと皮肉にも「エゴイスト」というタイトルがしっくりきてしまった。
龍太から母親の話を聞いたから、ここまで尽くしたのではないか。自分が歩めなかった道を歩いてると知ったからではないか。
もし龍太の家庭が母子家庭ではなく、父親もいて母親が健康だったら?
そうしたら出会うこともなかったのかもしれないけど、、。
龍太への純粋な愛情だけではない、まさに自分のエゴのために動いている、というのは浩輔自身も思い悩んでいる部分でもあって、常に後ろめたさも同居して苦しかったんじゃないかと想像しました。
そして、結果的に龍太を失ってしまう。
浩輔の場合は、エゴイストといっても、優しさや相手を思う気持ちが強い故なんだと思う。
観るたびに新しい発見があり、こだわって作られているのが感じられます!
こんなに何回も劇場に足を運びたいと思う映画は初めてです。
自分が宮沢氷魚さんのファンだというのは差し引いても素晴らしい映画だと思います。
DVDが出たら欲しいけれど、ちゃんとしたプレーヤー持っていない、どうしよう。と今から心配しています。
上映期間が終わってしまう前にもう一度見に行くか、時間と仕事と相談中、、。