「敵キャラの設定そのものが間違っている。」ビースト tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
敵キャラの設定そのものが間違っている。
そもそも、ライオンは、密猟や自然破壊の被害者であって、冷酷非情な殺戮を繰り返す加害者に仕立てることには違和感がある。敵キャラの設定そのものに、無理があるのである。
間の抜けた行動でイライラさせる主人公たちが、何故かいつも生き残るというご都合主義が鼻について、サスペンスも一向に盛り上がらないし、ドキュメンタリーのような緊迫感を出そうとしたのであろう長回しも、効果を上げているとは思えない。
父親とライオンとのタイマンは、アクションの見せ場としては良いのだが、銃で武装した密猟者たちを一撃で倒してきたライオンが、ナイフを持っているだけの一般人に、ああも手こずるのは不自然としか言いようがない。
ライオンを倒す方法が、比較的早い時期に予想できてしもうのもいただけない。
さらに、せっかく黒人俳優を主役に据えて、アフリカを舞台にした映画を作るのであれば、例えば、亡き妻の幻を見るシーンなどで、もっとアフリカの歴史や文化に対するリスペクトを示せなかったのかと、残念に思ってしまった。
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