「まさか本当にライオン一匹で終わり・・・」ビースト 真中合歓さんの映画レビュー(感想・評価)
まさか本当にライオン一匹で終わり・・・
昨今はマーベル作品を始めとした迫力満点のCGを使ったアクション映画で溢れていますが、そんな時代に”野生のライオンに立ち向かうだけ”というテーマの本作。逆に気になったので観に行って参りました。まあそれは半分本当で、もう半分はポイントが溜まったので同日公開だったアニメ映画と天秤に掛けた結果ですが(笑)。
そんなこの時代に超シンプルで70年代を思わせるような題材の本作。吉と出るか?凶と出るか?・・・・・・答えは後者でした。。
まず、ロケーションが少なすぎる。低予算の邦画を思わせるくらいに少なくて、車で移動中に負傷した男を発見→そこから数十メートル先で立ち往生という展開になるのですが、後は終盤までその周辺で格闘するだけ(笑)。子どもたちが居る事とかそういう事情も分かるのですが、それにしても殆ど車とその周辺とは。子どもたちも一緒に居るし全員がそうなので、別の場所に居る奴に視点が映って一方その頃は・・・とかそういう切り替えも無い。
物語も殆ど夜に展開されるので美しいアフリカ大陸が拝めるとかそういう訳でも無く、その辺も期待していたのに全くでした。野生動物も沢山見られるかと思ったんですが、CGのライオンとキリンだけ。やはり明らかに予算が掛かっていません。
じゃあ、ライオン一本で勝負するんでしょ?ならよっぽど怖く演出されてるんだろうなあ!と期待したのですが、最初がピークで後は全然。そもそもライオンが普通に姿を表してその辺を歩いてるので「ま、まあ普通にライオンやな…」という感じで画面越しの僕たちにはただのライオンです(笑)。せっかく暗闇のロケーションが多いんだからもっと飛び出してくりゃ良いのに。
野生の動物怖えええ!のホラーで突き詰めたいのか、変にリアルに描きたいのかが曖昧で、本当にただつまらないライオンホラーでした。襲ってくるのは何の変哲も無いライオン一匹だけだしちょっとだけ密猟組織も出てきたけど瞬殺されるし。
”逆に”今の時代に野生動物のホラーを撮ってみよう!の一声で企画されてそれ相応の予算で作られた映画って感じでした。ライオン一つで極めてきたのかと思いきや、期待外れ。
これはもう、見なくていいです。