「医療的立場から見ると疑問が残る(CPA ROSC放置は・・・)」Dr.コトー診療所 ふりかけさんの映画レビュー(感想・評価)
医療的立場から見ると疑問が残る(CPA ROSC放置は・・・)
ドラマ時代から見ていたので期待して見ていましたが、見終わって悲しかったです。
映画を作ったことによって、不幸な転機を辿った人が多すぎる。
・タケヒロの扱い
あれだけタケヒロを大切にしていたのに学費が足りなくて医学部中退という設定であった。
最近は地域枠など学費のかからない医学部は多々あり、「成績が悪くなったから奨学金を打ち切られ、医学部を中退した」という設定は無理がある。
医学部は卒業したけれど研修の中で心を壊したや、血がどうしても見れないなどの設定でよかったのではないか。卒業させてあげてもよかったと思う。
最後に医学部復帰していたように見えたが、医学部中退して数年経過しているタケヒロが復学できるシステムはあるのだろうか?応援したい。
離島から医者になろうとしてたタケヒロは昔から応援していたので、このような扱いをされて非常に悲しかった。
・コトー先生の扱い
脚本により急性骨髄性白血病という抗がん剤による治療が必要な病気になってしまった。
紫斑が出現していたので血小板は間違いなく5万以下だろう。
体動時の息切れも出現していたので貧血もあるだろう。
すぐに抗がん剤治療が必要である。
そんな中、自家麻酔でon pumpの心バイパス術をさせられて可哀想である。
・台風
沖縄は台風に慣れているはずなのになぜかけが人が多数発生。
土砂崩れであれば仕方がないのでそれは許容する。
多発した患者が診療所になだれ込む形になる。
キンプリがトリアージをと叫んでいたが、もっともである。
キンプリとコトー先生の2人しか医者がいない状況では診療の優先順位をつけなければいけない。
コトー先生は全員助けると叫び、CPAの患者に挿管して心マをしていた。アドレナリンは投与したのだろうか?タケヒロの心マによりなぜか回復。
コトー先生は心バイパス手術へ向かっていったが、一度思い返してみよう。
手術にはキンプリとコトー先生が入っている。
ROSCしたばかりの挿管患者は誰が見たのだろうか?
心肺再開したからといって安心できるわけではない。その後の治療が大事なのだ。
医療者が気づかないわけではない。研修医でも気づく。
なので、非医療者の視聴者はこの程度疑問に思わないだろうからよいだろうと判断されたということである。
医療は気合ではないのである。過去の命の積み重ねでわずかに一歩一歩進歩しているのだ。
心臓マッサージ一つをとってもどのくらいのリズムでどのくらいの深さでやるかは一つ一つ決まっているのだ。あのように適当にやってはいけない。
気持ちを否定するわけではないが、気合で回復したように見える表現は過去の命に対して失礼である。
私は最もそこが気になった。
・キンプリ
もっともまともなことを言っていた。
離島医療の持続可能性について。
医者がいなければ離島医療は持続できないのである。
集約化を図らなくてはいけない。
医者はどこでも働けるのでお金を積んでも来てもらえないのである。
そのために県が金を出して地域枠を設定したりしているのである。
自己犠牲による医療はこのような医者が病気になった瞬間に持続不可となるのである。
以上気になった点を述べさせていただいた。
BGMと銀の龍の背に乗ってはやはり素晴らしいので★2にします。
付け加えです。
・台風のシーンは私も疑問を感じました。なぜ、慣れてるはずなのに、あんなにけが人が出たのかと。
・「医療は気合いじゃない」というお言葉、しっかり心に留めて置きます。
ありがとうございました。
私は医療のことは何も知らない一般人ですが、共感する点が多かったのでコメントさせていただきます。
・ハントがとてもまともなこと言っているというのは、同感です。ハント先生が「トリアージを!」という前から、ヤキモキしていました。けれど、あそこでコトーが「そうだね。ノブおじは諦めよう。」と言ってしまってはコトーがコトーでなくなるので、このドラマとしては、あのまま突き進むしかなかったと思います。
・離島医療のシステムのまずさももっともなことなのですが、なかなか簡単に改善できない葛藤を描きたかったんじゃないかなと思います。
・コトーが白血病で危険な状態なのにバイパス手術をしたのはコトーがかわいそうというのもあるのですが、手術の途中で気を失ったら重大な医療ミスになってしまいますよね。あれは酷いと思いました。が、あれもお話ですね。突然、元気な音楽が流れて一気に手術してしまうって。
今までも現実ならあり得ないような治療がたくさんあったと思います。
何もかも現実的に常識の範囲だとドラマとして面白くなくなるので、あり得ないエピソードを入れてるのだと考えました。
リアリティと空想をどれだけうまく調和させるかが作者の腕の見せどころですね。