「あくまで個人の解釈です」Dr.コトー診療所 風道さんの映画レビュー(感想・評価)
あくまで個人の解釈です
*原作マンガは読んでいません。
ドラマシリーズ〜映画の感想です。
この映画がコトーシリーズのラストで集大成と聞いたので、こういう解釈にたどり着きました。
様々な意見があると思うし、人それぞれで解釈が違っていいと思います。
台風の夜から数ヶ月が過ぎたであろう島の人々のいつもの暮らし、診療所に集まるみんなの笑顔、子供を抱き上げるコトー先生、この最後の映像の解釈。
力を120%使い切ったコトー先生が最後に心に描いた映像(=コトー先生は亡くなった)という解釈に自分は落ち着きました。
そのほうがコトー先生「らしい」からです。
そして「生きて」と言った昌代さんの卵焼きをコトー先生が食べるシーンがなかったからです。
コトー先生が貫いてきたのは
「目の前の命に全力で向き合うこと」
ドラマシリーズの時からそれは何も変わっていないんです。
だから今回も「全力で向き合った」だけなんだと思います。
「自分を犠牲にして」とか「命に優先を付ける」とか、コトー先生の中にはないんです。
「医者だから」とか言う前に、目の前で助けを必要としている人がいたら全力で助ける人なんだと思います。
ドラマシリーズで最後のエンディングの曲が流れる時、みんなが笑ってる中でも素晴らしい景色の中でも、コトー先生の背中はいつも孤独を抱えているように見えました。
「寂しそう」とかいう生半可なものではなく、「信念を持った孤独への覚悟」のように感じました。
今回の映画は20年分のコトー先生の「孤独」と「覚悟」だと思いました。
そしてコトー先生が「そういう医者だ」ということ、そう思うと自分なりの解釈に自然と辿り着きました。
海外の戦争中の国などでは医療施設に人が押し寄せ、何日もかけて歩いて来て施設に着いても診察してもらえるまでまた何日か待つ、と聞いたことがあります。
孤島で唯一の医者というのは立場は違えど、みんなから頼りにされることには変わりはないと思います。
島民はコトー先生を頼りにするし、他の人はきっと励ますことしかできない。
テレビシリーズからのファンで大好きなドラマなので、今回の映画は見ていて辛くなるものでした。
でもそれは自分が「コトー先生」の本当の孤独や覚悟がわかっていなかったからなんだと思いました。
もちろん今でも自分は想像するだけで、わかるはずもないですが。
コトー先生をずっと体現してきた吉岡さんの今回の鬼気迫る演技は素晴らしかったです。
孤独と覚悟「コトー先生という人」を生きていました。
コトー先生の死=アンハッピーエンドとは思いません。
彼はそういう人だった。
そして真っ直ぐに全力で生きた。
彼がいつもずっと20年間願ってきたのは最後の映像と同じ。
みんなのいつもの「暮らし」と「笑顔」なんだと思います。
そしてそんなコトー先生だったからこそ、彩佳さんやみんなに好かれたんだと思います。
この映画でハント先生が唯一マトモなことを言ってる、と口コミに書かれてる方もいます。
ハント先生や鳴海先生のような方が医者であるべきだと自分も思います。
頭ではそう思います。
だけど何故でしょう?
自分がもし病気になったことを想像した時、やっぱり見てもらいたいのはコトー先生なんです。