「近年まれにみる駄作」レジェンド&バタフライ 明徳義道さんの映画レビュー(感想・評価)
近年まれにみる駄作
濃姫という斎藤道三の娘が信長の正室に嫁いだらしいという事ぐらいしか分からない人物を主役に描いた作品と観賞した結果そう感じた。
濃姫という名も正式名称ではなく、鷺山殿とか帰蝶と呼ばれていたかもしれない。
何歳で亡くなったかも分からない人物は、小説でも映画でも好き勝手に描けるものなんだろう。
しかし、この映画が興行的に成功しなかった最大の理由は、脚本の出来が余りにも悪すぎたことだろう。
また、監督の信長の描き方も凡庸と感じた。
何故なら織田家は代々弾正忠という家柄で、今川を打ち取らなければならない大義があったからである。
信長は今川の動向に常に注意を払い、殲滅する機会を待ち望んでいたと考えられる。
しかし、映画の中ではまるででくの坊。
正室の濃姫に尻を叩かれているような描き方。
脚本家の愚図っぷりがここで発揮された。
主演の信長を演じた木村拓哉も30年前のトレンドドラマの延長のようで、信長の鋭さを十分に表現できているとは言い難い。
また、中弛みするような3時間近い上映時間も一気に見るのはキツイ。
いっそのこと、桶狭間の合戦に行くまでの話にしていれば、もう少し人物を深掘りした作品に仕上がったのではないかと思う。
唯一の救いは濃姫役をされた綾瀬はるかの眼力だけである。
どれほど優れた俳優をそろえても、第一に脚本の良しあし、監督の技量次第で傑作にも駄作のもなるのである。
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