「マムシの娘」レジェンド&バタフライ U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
マムシの娘
斬新だった。
綾瀬さんが抜群に良くて、彼女しか目に入らない。
コレを老舗の東映が撮ったってのが感慨深い。
思えば時代劇の礎を築いた会社だ。つまりはコレまでの信長像を打ち出した会社な訳だ。
それが…信長を踏み台に濃姫を描くとは。
時代考証的に物言いはつきそうだが、俺は楽しかった。
いつ戦国の風雲児たるキレ者の一面が出てくるのかと思いきや、今回の信長は最後まで大空けのままだった。
いや、キレ者たる部分を敢えて排除したような構成。きっと、語られなかったシーンには語り継がれる信長然とした信長がいたのだろう。
ずっと濃姫に入れ込んでいる信長は、魅力的だった。
そう言う意味では、木村氏は好演でもあった。
ただ…
それでも…綾瀬はるかの背骨には負ける。
なんと堂々たる佇まいであろうか。
1枚も2枚も上手なのである。
役者として雑念がないというか…純度が高い。
ただ、コレは観客側にも問題があるのだろうとは思うけど、木村氏には雑味を感じてしまう。
ああ、どこかで見た笑い方だな。
ああ、その目線の外し方、どっかでやってたな。
彼の役者としての歴史が、そう思わせるのかもしれない。得意な表現や好評だった表現に甘えると言ってもいいかもしれない。その評価は果たして忖度なしで得たものなのであろうか?
芸能界の仕組みを憂うばかりである。
でも、今回の信長は好きだ。
跳ねっ返り具合も、秘めたる熱さも素敵だった。
前半は特に好きだった。何をやってもキムタクと評する輩が居ても、濃姫への恋心は最後までブレなかった。
濃姫は見た事もない濃姫が出てきたので、驚くばかりであるのだけれど、大好きだ。
彼女の台詞にある濃姫との誤差がない。
見事なまでの濃姫だった。
光秀の謀反や安土城の煌びやかさなど、大体の解釈は受け入れてはいるのだけれど、本能寺の殺陣は、あまり良くなかった。
どうも、本能寺で語るべくテーマを逸脱してアクションに振ったような感じがしてた。
ラストシーンも衝撃的ではあるけれど、ラストカットがアレじゃあ〆きれないと感じる。まだなんかあるのかもと、スタッフロールを最後まで観たけど何も出てこなかった。
久しぶりに見た時代劇。
変化球ながらも老舗・東映が手がけただけあって隙も少なかったように思う。
俺は、好きだなぁ。
まぁ、綾瀬さんにしてやられた感もあるにはあるが。
題名があんましっくりきてないな。