劇場公開日 2023年1月27日

「良かったけど、なんか物足りない…」レジェンド&バタフライ flying frogさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0良かったけど、なんか物足りない…

2023年2月5日
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鑑賞方法:映画館

桶狭間、美濃攻め、浅井長政との確執、比叡山の焼き打ち、長篠合戦、そして本能寺と、信長の生涯でターニングポイントとなったイベントを、合戦シーンをほぼ排除してその前後の濃姫との関係性だけに焦点を絞って描かれた映画。
なのである程度そのあたりの歴史の知識がないと分かりにくいかも。

歴史的事実は押さえながらも、そこに様々な新解釈を挿入する描き方は歴史モノの醍醐味で楽しめた。

ただ、やはり…というか肝心の信長(木村拓哉)に、"うつけ"から"魔王"そして1人の女を愛するただの男、という振れ幅を感じないんだよなぁ…
それがこの映画の主題なので、やはりここは辛いところ。
木村拓哉は雰囲気はとても良いのだけど、闇落ちの闇の深さを感じないので、脳内補完しながらでないと説得力に乏しい筋書きに感じてしまう。

その点では綾瀬はるかの濃姫にずいぶん助けられてはいる。
濃姫はある意味不変の人に設定されているので、濃姫と対峙する信長のシーンは素直に納得して観ることができた。

ただその濃姫、歳をとらないのが違和感が…(笑)
周囲の中谷美紀や伊藤英明が順調に歳をとっていくのに、綾瀬はるかが歳をとらないのは違和感が大きかった。
信長もあまり歳をとってない。
この2人の30年がこの映画の主題なのだから、そこはメイクで2人の外見の振り幅を大きくして欲しかったところ。

濃姫、病気になってもやつれないし(笑)

中谷美紀と伊藤英明の2人は素晴らしかった。この2人がこの映画を引き締めていた。
特に伊藤英明は、彼の出演映画は多く観ているけど、初めて彼を良いと思ったほど。
立ってるだけで何かが伝わってきたもの。
伊藤英明はあまり喋らない役の方が合ってるのかも(^-^*)

木村拓哉は物足りない、とは書いたけど、周りの俳優人がそれをうまくカバーして木村の長所を引き出し、見応えがある映画にはなっていた。
3時間あまりの長尺も退屈せずに楽しんで観ることができた。

あ、それと城や街、衣装や小物に至るまで、美術陣は良い仕事をしていたのでは。
岐阜城はよく知っている場所だが、そこからの岐阜の眺めなんて、いかにもそれっぽくて感動した。

でもやっぱり、綾瀬はるかをちゃんと老けさせて、かつやつれさせて欲しかったな(笑)

flying frog