「親子愛が刺さった」世界は僕らに気づかない たまごやきさんの映画レビュー(感想・評価)
親子愛が刺さった
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2つのマイノリティを抱えて生きる主人公の、イライラややりきれなさ、怒り、苦しみ、いろんな感情が溢れていた。特に親子で言い合うシーンは毎回毎回泣けて仕方なかった。おしゃれをして、時々知らない言葉の歌をうたう母親。母親の明るさ、強さと弱さ。それと、それらにカメラを向ける主人公の描写が好きだった。何故撮っているのか、説明はなかったけれど、それでいいんだと思う。
2つのマイノリティ、つまり出自についてと、セクシャリティについて。2つのままならなさと思春期に同時に襲われる主人公は、ある時は必要以上に大人びて見えて、ある時は小学生のようにも見えて、俳優さんって凄いなと感じた。母親の少しカタコトな喋りも、演技で作ってるのかな?だとしたらすごくすごい。
出自についての落とし所が、過去の出来事についての本音を母親に吐露して、たった一言、フィリピンの言葉を喋る、というのが良かった。この辺り、鮭のとこらへんからは本当に、マスクがべしゃべしゃになる程泣いた。
ただ、これは好みの問題だと思うけど、セクシャリティについてのオチが…。幸せになれて良かったと思う反面、出自には無かったご都合主義的なものを感じてしまった。和解のシーンくらいで終わってれば丁度良かったかな〜。本当に、好みの問題だと思いますが。アセクシャルの同級生の話もよくわからなかった、いや、言ってることはわかるんだけど、このくだりいるかなって。
親子愛と性愛を対比させたら、まあこの話運びが順当なのかな?あとちょっと画面酔いしそうになった。
親子の描写が凄く良かったな。良すぎて、胸に迫り過ぎて、もう一度観たいと思えないほどに。良かった。
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