「良質な映像美と音楽」劇場版モノノ怪 唐傘 ryuzoさんの映画レビュー(感想・評価)
良質な映像美と音楽
特典要員として奥さんに駆り出され視聴
昔にTVでやっていたのは知っているが未視聴の為予備知識はほぼ無く鑑賞した
目まぐるしい展開と演出に圧倒されながらも
雰囲気で設定を飲み込みながらなんとか置いて行かれること無く視聴した
内容としてはミステリーチックな話で
大奥に巣食うモノノ怪唐傘や大奥に渦巻く情念を解き明かすという内容
アサとカメという新人女中が物語の中心となり話は進んでいく
大奥に仕える女中は大奥に入る際に禊として
己が大事にしてきたものを井戸に投げ込むのだが
これはすなわち神(将軍)に仕える為人間性を捨て去る為の儀式であるのだと解釈
感情を表に出さないアサ
感情を表に出すカメ
大事な物を井戸に捨てないアサ
大事な物を井戸に捨てるカメ
仕事が出来るアサ
仕事が出来ないカメ
井戸の水を飲み下せる様になるアサ
井戸の水を飲み下さず捨てるカメ
大奥に残るアサ
大奥を去るカメ
対比関係である両者なのだがこれは二人で1つの人間というものを形作っているのだと解釈
更には後に唐傘となる女中北川との対比関係があり
北川にもアサにおけるカメの様な人物がおりアサにも北川の様に唐傘になる運命もあり得たと示唆しているのだが
井戸に大事な物を捨てなかった為
人間性を捨て去らずにいれたアサと
井戸に大事な物を捨ててしまったが故に
人間性を捨ててしまった北川
人が人である為に必要な物は思い(井戸に捨ててしまった物)であり思いを捨て去ってしまえば人はモノノ怪になり得るのであるということが読み取れた
最後のシーンではアサとカメはお互いの簪(思い)を交換(=2人で1つの人間ではなくここでそれぞれがアサとカメというそれぞれが人間性を獲得することが出来た)
互いに別々の道に進むがお互いの思いを交換しているのでそれぞれが人としてこれからも生きていく事が出来るのである
良質な映像はさすがの中村健治監督
Cやガッチャマンクラウズ等好きな作品が多くこの作品も楽しめた
また和風の作品の劇伴をやらせたら右に出る者はいない岩崎琢の最高の音楽で上質な映像体験を感じる事が出来た
連れてきてくれた奥さんに感謝感謝だ
あとクラファンの財布を解き放ったレイナ?さんのおかげかな(めちゃくちゃ頭に残ってしまった)