劇場公開日 2024年7月26日

「画面情報量が多すぎる印象」劇場版モノノ怪 唐傘 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5画面情報量が多すぎる印象

2024年7月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

独特な色彩、背景美術の凝っていること、3Dの使い方など、芸術に足を突っ込んでいるクオリティ。
絵に目が行きがちですが、本作は効果音や音楽の設計がとても素晴らしく、音響のいい劇場スクリーンで観てよかったとしみじみ。

ストーリーに大きくは3つの要素があり、
・大奥の腐敗した権力構造やパワハラを廃し、正しい政(まつりごと)を行おうとする話
・新人女中同士の友情と秘めた百合(同性愛)話
・過去死に至った女性が怪異となり、退治屋を裏稼業とする薬売りの活躍話
これらが絡んで織りなす物語は見応えあるものの。

ただ、配信が収益の軸で、何度も見直してもらう前提かつ、海外市場を意識したならこれでもいいけれど、映画館で観るにはちょっと……というのが個人の印象でした。

絵や、場面転換の演出などで与えられる画面情報量が多すぎる。
キャラ絵と背景の密度が同じくらいあって、脳の処理が追いつかない。
それゆえに、89分は長く感じる。
30分くらいのとこでゲップが出た。
この密度ならTVシリーズ(22分)前後編か、『ルックバック』(58分)くらいの長さの方がよかったと思った。
ある程度の長さで楽しませてくれるなら、もっと絵と演出の緩急が欲しかった。

たとえるなら、サシの入ったステーキ1kgとチーズケーキを一緒に出されたような感覚。
適正なバランスと量を考えた、コース料理にしてほしかった。

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コージィ日本犬