「やはり不安的中」劇場版モノノ怪 唐傘 わんわんさんの映画レビュー(感想・評価)
やはり不安的中
テレビ版を何周も観るほど気に入っていた作品なので劇場版制作発表から楽しみにしていた作品。
オリジナル版の主人公薬売りの声優さんの降板が決まり、神谷さんが引き継ぐことになったのは不安と期待はありました。
そして、映画を観る数日前に知ったのですが、オリジナル版のキャラクターデザイン担当の方も諸事情で降板と知り、不安のほうが大きいなかで映画鑑賞させてもらいました。
まず違和感を感じたのが元々は日本画の浮世絵や貼り絵とクリムトなどの洋画家のオマージュを融合したような独特の世界観があったが、劇場版は少し画風のレベルが落ちた?のか現代風アニメが色濃く感じたのが残念だった。
そして、やはり主人公の台詞回しや飄々としているが少し重苦しいのが作品の世界観に没入出来ていたテレビ版に比べると、代打で作品を仕上げてくれた神谷さんには罪はありませんが、ただ軽い性格の男というキャラクターに感じてしまい、化物語の主人公をどうしても連想してしまいました。
作品の内容は形・真・理が揃って伏線回収して物語を終幕へと導くのが「モノノ怪」の真骨頂だと自分は思っていますが、その内容が希薄で説明不足。
真と理に感動するドラマがあってのモノノ怪退治で締めくくられるから余韻に浸れるのが、劇場版では端的に強引にエンディングまで持っていかれてると自分は感じました。
他のキャラクターも何かを抱えている事案を紐解きながら物語を感慨深いものに作りあげていた作品なのに、劇場版は有名声優さんを揃えて一人一人のキャラクターが濃く、悪い意味で目立って物語の中で調和が取れていなかったような。
エンディングロールもクラウドファンディング出資者も流す義理堅い演出は良いのですが少し長すぎる気もしました。
モノノ怪は大好きな作品なので、続編を匂わす演出もあったので、次回作はそれらの違和感を払拭するような凄い作品になることを期待して観させて頂きます。