「薬売りカッコ良すぎ。テーマも刺さった。」劇場版モノノ怪 唐傘 GOさんの映画レビュー(感想・評価)
薬売りカッコ良すぎ。テーマも刺さった。
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前知識なく、なとなく見たが衝撃を受けた。
映像が凄い。それはもちろんだけど、
私にはテーマがクリティカルヒットだった。
「お前は何を捨てた?」
そう薬売りに問いただされる。
大事なものを捨ててしまうこと、乾いてしまうこと、認められたい承認欲求。
それらを否定的に描くのかと思いきや、そんな描き方はしない。
大事なものを捨て、乾いてしまった権化のような歌山。
その歌山がこの物語の主人公に見えた。
それくらい歌山はカッコよく描かれる。
華やかな餅弾きの表舞台を、裏で支える官僚的組織。
そういうものが実際に日本社会を支えてきた。
そこに渦巻く情念。
「仕事が出来ない人」の世話をさせられる「できる人」。
出来る人は認められ出世し、そして乾いていく。
圧倒的に不条理で不平等な世界。
でもそんな世界を肯定的に描くことに成功していると思う。
致命的な問題点を強くあぶりだしておきながら、
肯定的に描くというのは本当にすごいと思う。
登場人物の描き方も素晴らしい。
薬売りは超カッコいい。
カメとアサがとてもかわいい。
でも二人を決して聖女のように描かない。
ただの「ダメな奴」としても描かない。
ちゃんと存在する人間として感じられる。
最後にカメはアサのもとを去る。
そしてアサは、組織の中で前に進む
涙が出た。
たぶん、刺さる人には刺さるのだと思う。
(泣いてたのは私くらいだったからよくわからないけど。)
よくわからないシーンはたくさんあった。
でも、とにかく私は満足感に満たされて劇場を出た。
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