「二次元に憧れ、三次元で恋をする」いつか、いつも……いつまでも。 ジュン一さんの映画レビュー(感想・評価)
二次元に憧れ、三次元で恋をする
ハートウォーミングなラブストーリー。
偶然手にした一枚の写真に写っていた女性に恋し、
たまさか彼女が目の前に現れたことからすったもんだがあり、
最後は大団円を迎える、との。
プロットそのものはありがちで、
{ボーイ・ミーツ・ガール}の王道を行くものの、
中途予想だにしなかった仕掛けもあり、
出会いのシーンも含めツイストは効いている。
とは言え、作品の魂は細部に宿ると言う。
役者も脚本も、杜撰な面があまりにも多い
残念な仕上がりの一本。
先ず、演技の点からは
周囲を固める人々に瑕疵はない。
とりわけ主人公の祖父を演じた『石橋蓮司』
姦しい叔母役の『水島かおり』、
家政婦役の『芹川藍』の何れもがイイ味を出している。
しかし肝心要の二人、
『高杉真宙』にはまだ目を瞑るとしても、
『関水渚』の駄目さ加減は目に余る。
〔コンフィデンスマンJP プリンセス編(2020年)〕の『コックリ』役は
科白が少なくてぼろが出なかったが、
今回は泣く/驚く/怒る/痛がるの全てのシーンで演技が白々しい。
〔町田くんの世界(2019年)〕で新人賞を席巻も
こんなに下手だったか?
脚本の流れも良くはない。
冒頭からして人間関係が判り辛く、
それは建物の造作の描写も同様
(ストーリーに大きく膾炙するポイントにもかかわらず)。
それらはおいおいと分かっては来るものの、
頭の中での再整理はかなり必要で
すんなりとは入って来ず、
観る側にストレスを感じさせるだけで
この手の物語りでは駄目な要素だろう。
加えて、ピースの納まりが悪く
取って付けたような、無理に次につなげるためのエピソードが多すぎで、
登場人物の重要な行動の殆どに肯定できぬ唐突感があり。
人物の描き分けも、
女性は揃いも揃ってエキセントリック、
それに比して男性はイイ人ばかりで寛容度が強すぎて
違和感がありまくり。
とは言え、若い二人の男女の成長譚。
微笑ましく最後まで鑑賞をはしたのだが。
監督の『長崎俊一』と言えば
〔ユキがロックを棄てた夏(1978年)〕
〔九月の冗談クラブバンド(1982年)〕
〔ロックよ、静かに流れよ(1988年)〕
あたりが同時代も、最近はこんな作品も撮るようになったのね。
往時の片鱗はあまり見られぬけど。
そして主人公の叔母役の『水島かおり』は
監督の奥さんのハズだが、
実際にはあんなヒトじゃないよね?