オルガの翼のレビュー・感想・評価
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【市民革命勃発によりウクライナからスイス体操選手団へ移った15歳の少女の決断をドキュメンタリータッチで描いた作品。内紛、戦争で傷つくのは兵士だけでなく、一般市民もなのである・・。】
■2013年、ユーロマイダン革命直前のキーウ。
15歳の体操選手・オルガはジャーナリストの母と共に車に乗車中に何者かに命を狙われる。
オルガは亡き父の故郷・スイスのナショナル・チームに移籍するが、欧州選手権に出場するためにはウクライナの市民権を手放さなければならず、彼女はスイス人となり大会に出場する。
だが、大会中、ウクライナチームの主要選手でオルガの友人サーシャは競技を止め”ウクライナに自由を‼”と叫び退場し、又、母が大怪我をしたという連絡が彼女に入る。
◆感想
・ウクライナという国は、第二次世界大戦時から周辺諸国に脅かされ、漸く安寧の時を迎えたと思ったら、新ロシア派の腐敗した政治家ヤヌコビッチが大統領になったために市民運動・ユーロマイダン革命が起き、政情不安になり、今またウクライナ紛争に晒されている。
・今作はユーロマイダン革命により、ジャーナリストの母の判断でスイスに亡命した15歳の体操選手・オルガの姿をドキュメンタリータッチで追った映画である。
・劇中、オルガには笑顔はない。見知らぬ国スイスで、一人体操の練習をするオルガ。祖父の家族の元に身を寄せても、居場所はない。
・彼女はスイスのナショナル・チームの選手となり、欧州選手権に出場し高得点を出しても笑顔はない。
・そして、足に疲労骨折が見つかった彼女は、大きな決断をするのである・・。
<2020年。キーウに戻った子供達に体操を教える彼女は、少しふっくらとして笑顔である。だが、そのすぐ後にウクライナ紛争が起きるのだが・・。
今作は、市民革命勃発によりウクライナからスイス体操選手団へ移った15歳の少女の決断をドキュメンタリータッチで描いた作品なのである。スポーツ選手には何の罪も無いのに・・。>
現役アスリートでなければ出来ない演技の数々と、2013年のウクライ...
見応えありました
おほけなく憂くライナの民におもふかな
今となってはロシアとウクライナは、非道の専制国家とそれに蹂躙される民主国家というイメージだが、2014年のマイダン革命まではウクライナもどちらかと言えば前者の側に与していたようだ。現在の状況を知る者から見ると、革命渦中の動乱を背景に描くこの映画には、微妙な認識の揺らぎを感じざるを得ない。
演者本人が体操選手というのは絶対的な強みだ。ボディ・ダブルを使わないので、フラットな演技からいきなり段違い平行棒のトカチェフやイェーガーに入る躍動感が凄い(体操選手としてはやや成長しすぎているようにも思うが)。
前政権の弾圧から脱した先に、隣国からの苛烈な侵略というさらなる災禍が襲うとは。ウクライナの人々に一刻も早く平和が訪れることを願って止まない。
スポーツ青春物語として、成功作品だ。
スイス人の監督が描いた2014年ウクライナ騒乱。
後ろ振り前方開脚宙返り懸垂
ウクライナの体操選手が2014年のマイダン革命により帰国できなくなる話。
2013:年、ジャーナリストの母親が政治スキャンダルをスッパ抜いたことにより命を狙われ、亡き父の祖国であるスイスに避難するというストーリー。
最初は母親と自分のことだった問題が、ウクライナ情勢の変化になって不安が高まっていく様を、実際のデモや暴動の映像を織りまぜながらみせていくけれど、つい8年前のことですからね…。
そんな中でまだ未成年である主人公が感情を抑え込みロボットと言われながらも決断し挑戦する姿が悲しくそして力強かった。
クリミア半島のことに少しだけ触れつつ2020年で締めくくられていたけれど、2022年の現実世界では…作品自体はフィクションではあるけれど色々と考えさせられた。
つかのまの平和
2014年のマイダン革命で、ヤヌコーヴィッチ大統領追放にむかうウクライナのキーウから、スイスに体操亡命したオルガが主人公。キーウの惨状とともに彼女のアスリートとしての葛藤が描かれていく。しかし、本作が製作されている時は、まさかロシアの侵略が現実のものになるとは思われなかっただろう。クライマックスは、マイダン革命が成って民主化を手にした後の2020年、ウクライナの平和な風景が描写される。映画完成の2年後に、侵略軍に蹂躙されるとは。
作品としては、メリハリがいまいちなドラマですが、マイダン革命の実態を知らなかったので、勉強になります。さらに、ラストシーンの「戻った平和in2020」が、いかに儚いものだったか現状を知る「未来人」としては切ない気持ちになります。
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