「おほけなく憂くライナの民におもふかな」オルガの翼 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
おほけなく憂くライナの民におもふかな
今となってはロシアとウクライナは、非道の専制国家とそれに蹂躙される民主国家というイメージだが、2014年のマイダン革命まではウクライナもどちらかと言えば前者の側に与していたようだ。現在の状況を知る者から見ると、革命渦中の動乱を背景に描くこの映画には、微妙な認識の揺らぎを感じざるを得ない。
演者本人が体操選手というのは絶対的な強みだ。ボディ・ダブルを使わないので、フラットな演技からいきなり段違い平行棒のトカチェフやイェーガーに入る躍動感が凄い(体操選手としてはやや成長しすぎているようにも思うが)。
前政権の弾圧から脱した先に、隣国からの苛烈な侵略というさらなる災禍が襲うとは。ウクライナの人々に一刻も早く平和が訪れることを願って止まない。
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