凪の憂鬱のレビュー・感想・評価
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大阪から届いたちょっと変わったクセになる味わい
主に大阪を舞台に柔らかくゆったりとした空気感でユニークな人間模様を紡ぎ続ける磯部監督。その最新長編となる本作は、これまで短編「高校生編」、中編「大学生編」と展開してきた「凪シリーズ」の最新作である。主演の辻凪子が体現するこの役柄もついに立派な社会人となり・・・とは言いつつ、今回もユルユルと心地よいペースなのは相変わらずで、怪談ナイト、ゲートボール、銭湯、映画館などで巻き起こるクスッと笑ってしまうエピソードの数々が「何気ないけれど忘れ難い一瞬」をまたひとつ更新していく。これがなんだかとても愛おしい。一度ハマってしまうとまた通いたくなる店の味、とでも言おうか。凪が七転八倒しながら笑って悩んで眉をしかめて試練を乗り越えるたびに、親戚のおじさんのように応援してしまう自分がいた。磯部監督の巧みな映像表現と辻の唯一無二の演技力が深く調和した一作。今後も歳を重ねる凪の姿を見届けたいと思わずにいられない。
気になる点もあるが、大阪市愛が感じられる良い映画。
今年177本目(合計828本目/今月(2023年6月度)2本目)。 もともと大阪市がテーマ(一部兵庫県、後述)の映画で、しかも大阪市の中でも扱われている範囲がかなり限られている、知名度としてはマイナーなところも多い、大都市とはいえどもいわゆる「地元愛」が背景にあります。 一度見ただけだとわからないか、わかりにくい点(大阪市の放映基準では「それいけ!ゲートボールさくら組」が先に放映していたのが幸いだった)もかなりあります。すでに示したように、ゲートボールに関するルールの理解がある程度求められ(一応、最低限の説明はありますが(この意味では「それいけ!ゲートボールさくら組」よりも説明量は多い)、「どのように得点ができるのか、引き分けになるのか」(要は、どのような得点システムになっているのか、という観戦上の「ルールの理解」の話)等の説明が薄いところもあれば、映画内では一週間をいろいろ扱っているため、(実在する)他の映画館に行っていたり、映画内で映画を撮ろうよという話など、かなり話が「飛び飛び」な部分はどうしてもあります。 ただ、そのような「飛び飛び」な部分は理解しても、それでも「自由きままな1週間」を描きかかったという点は理解でき、その論点では減点はしづらいです。何か共通項を持たせようとすると逆に制約が出てくるからです。換言すればそこで減点していない以上、一定の「大阪市(一部、兵庫県)に関する地理の理解」というのは前提であり(実質上、(大都会ではありますが)地元ローカルネタという理解をしたほうがよさそう)、さらに大阪市の「特定のエリア」に関することが結構多く出てくるため、その中でも好き好みはあろうかと思います。 一方で音楽に関しては、今日がいわゆる「舞台挨拶放映」という扱いで、小林未奈さん、根矢涼香さんに対して好感が持てました(特に小林未奈さんのミニライブは良かったです。CD購入しました)。 確かにミニシアターで放映されているという事情がら、どうしても知名度があがらないという事情もあり(もっともわかっても、主人公を演じる辻凪子さん(無印版ベイビーわるきゅーれで出てくる)を知っている方くらい?)、こうした小さな映画館から大きな映画館で放映されるような大きな作品が放映できるまでに作品を作れるか、というある意味「登竜門」的なところを担うのがミニシアターの一つの役割でもありますが、その理は(=ミニシアターで、お気に入りの監督や出演者の方を見つけて応援してほしい、ということ)、去年高く評価した「消えない虹」の監督さんの感想と同趣旨のことが妥当し、このことは当然見に行く方はそのことは承知して見に行くのでしょうから、その点において「多少の傷までどうこういうのはどうか」という点は考慮しました。 ただ、明確に説明不足かな…と思える点も多々あり、またどうしても法律系資格持ちという観点から見過ごせない点もあります。 これらまで考慮して以下のように評価しています。 --------------------------------------------------- (加算3.0/概ね5作までを超えない監督さんの作品について) ・ どうしても大手シネコン等の大きな作品が並ぶ週に(遅れでも)放映されるとお客さんがそちらに流れてしまう点は否定しがたい(特に今週においては「怪物」か「渇水」)し、当然のように身体は一つなので2つ同時に見ることはできません。 そのような状況において、いわゆるアダルト系その他に「極端に」走ることなく真向面から投球した点は高く評価できます。 (減点0.2/「兵庫県の映画館」について) ・ 要はここは塚口サンサン劇場さんですが、映画内ではお手洗いが一定数描写されます。一見何の意味もなさそうですが、関西圏では「映画館にあるお手洗い」の中では特にきれいであることで有名です(ほか、インド映画を定期的に流すことでも知られる独特な映画館です)。 この説明がないため、なぜに「大半が大阪市なのに(事実上関西圏の一部とはいえ)ミニシアターの塚口サンサン劇場さんが突然出てきたのか」という点が理解しにくく(極論すれば、シネマートでもシネリーブル梅田でもよかった)、この点は「関西圏における塚口サンサン劇場さんの立ち位置」という地元ローカルネタを知らないと理解できない点があります。 (減点0.3/自転車の乗り回し・二人乗り走行ほかにについて) ・ これらが道路交通法ほかに触れることは言うまでもなく、やはり法律系資格持ちとしてはここは減点せざるを得ないところです。 (減点0.1/占有訴権について) ・ 上記との絡みで、占有訴権(民法200条、202条)との間で解釈上怪しい描写があります。ただ、誰にでもわかる不法行為や家族法(相続など)に関する話と異なり、「占有権と所有権が帰するところが同じになるとは限らない」という、一定の理解が前提となる部分の話で(誰しも監督が法学部だとか、行政書士以上の資格を持っているという解釈をするほうが奇妙)、そこまでどうこういうのもフェアではないと思えるので、配点上は上記のように考慮しています。
リアルなコロナ時代のドラマ
コロナ禍真っ只中の大阪の下町を舞台に、主人公の派遣OL凪と彼女を取り巻く友人たちとの、どうってことのない1週間を描いたドラマ。 怪談を聴きに行ったり、ゲートボールをやったり、自主映画を撮影したりとイベントは盛りだくさんだけど、平熱で淡々とこなしていく様にそこはかとない面白味がある。 この作品でとにかく驚いたのが、作中の人物がみんなマスクを付けたまま会話をしていること。コロナ禍の日本では見慣れた景色ではあったけれど、映像作品中で当たり前にマスクをしているのにはお目にかかったことがない。 ある意味こちらの方がリアルであり、肩肘張らずに日常風景を描いているという点で稀有な作品である。
もう作らなくて良いよ
なぜ?なぜ? 作り手側の承認欲求の為に観客の1900円を消費させるのは如何なものか? ラストに向かってちゃんとプロとして作ったのか? 主演の人は好きなんだけど、最近こういう作らなくても良い映画が多すぎて何が何だかわからない状況になる。ムーラボみたい
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