ザ・メニューのレビュー・感想・評価
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ジャンキー
かなり期待していた作品、その期待通りのメニューを提供してくれました。
まずR指定をしっかり活かす凄惨さが素晴らしいです。口の中に銃を突っ込んでの自殺、男の大切な部分にハサミをぶっ刺す、指を思いっきりナイフで切り裂く、海に沈める、首吊り自殺…豊富な凄惨さに目を背けたくもなりますが、しっかり目に焼き付ける事で物語の狂気さが際立ちました。
次にブラックユーモアたっぷりの社会批判。上流階級の人間が客としてきているので、お客様は神様精神を間に受けて偉そうな奴らばかりなので、顧客名簿やレビューで潰した店の写真や、風俗の写真をタコスの生地に印刷して提供するという意地の悪さも好きですし、シェフがとことん狂ってるいるので底意地の悪い奴らでも可哀想に見えてくるのが不思議でした。不気味なまでのシンクロ率や小声で囁いたりと、とにかく気味の悪さが不安を煽ってくれます。
突然の鬼ごっこは特別意味がありませんでしたが、もしかしてメンズはここで一掃されるのか?という緊張感はずっとありました。最後まで逃げ残った人に料理は提供するけど連れ戻すというのは中々に残酷でした笑
今作の根幹にあるのは食事を美味しそうに、楽しくする事の大切さだと思います。上流階級の人々は価値があるという理由のみでシェフの知名度と料金で食事を堪能していましたが、アニャ演じるマーゴにのみ提供されたチーズバーガー、マーゴが最後の切り札で料理のオーダーをして、シェフはそれに応えて、皮肉にもジャンキーで形も綺麗ではない、コース料理とは程遠いチーズバーガーを作っている際の表情が一番楽しそうというのも現実を醸し出しているなと思いました。作中で最も美味しそうだったのがこのチーズバーガー&フライドポテトでした。ジャンクフードは正義。
オチは大爆発とだけ聞くと投げやりのように思えますが、コース料理の最後のデザートをシェフとスタッフと客で仕上げるという大胆な一手でした。客にチョコとマシュマロを身に付けさせ、ソースなんかで彩っちゃって、着火して大爆発とある種の芸術のように思えました。材料に客と書いてあるのがツボです。
マーゴが船に乗って、チーズバーガーにかぶりついてスパッと終わるのも後味が良かったです。そうは来ないで〜の連発で戦々恐々としていましたが、終わってみればとても楽しい作品でした。これは絶品です。
鑑賞日 11/18
鑑賞時間 17:50〜19:50
座席 B-13
楽しかった
みる前よりもっと食べ物に作ってくれた人に感謝しようと思えた。
島の中でやってるレストラン❗️
めちゃめちゃどこを見ても景色がいいし綺麗で出てきたご飯も美味しそうで本当にあったら一回行ってみたいレストランだなぁって思いました☺️💕
最後1人脱出できたのとか最後皆でデザートになるって展開がすごく良かった❗️
暇だから映画見て帰るか〜ってノリで行ったけど見て良かった!
物足りなさは感じるが、不思議と違和感もなかった
映画館にて鑑賞しました。
サスペンスものだということはなんとなく知っていましたが、なんとなく物足りなさは感じました。シェフが狂気じみているというのは分かるのですが、なんとなく人間味は残ってる感じがして、底知れない、というほどでもなく。最後は死ぬのもなんとなく分かるので・・・。シェフがこういう行動を取ることになった理由も分かりますが、そこまでやるんか感は多少あります。
シェフも劇中で言っていますが、客の大半が本気で逃げようとしない空気感も、なぜか不思議と違和感がないのはなぜなんでしょうか。そういった点では面白い映画でした。
主人公のマーゴを演じるアニヤ・テイラー=ジョイは不思議な魅力がある女優さんだな、と改めて思いました。
緊張感のある晩餐!
晩餐に呼ばれたら、一人また一人と殺される。ありがちな設定だが描き方によって緊張感が途切れない。
●料理の描写が素晴らしい。「ノーマ」や「エル・ブジ」みたいな芸術的な料理をちゃんと映像化している。
三ツ星レストランどころか本当のトップレベルの料理を一般人は見たこともなければ味や内容なんかさっぱりわからない。そこを逆手に取った演出がいい。
知ったかぶりのセレブが異変をあくまでレストランの演出だと言って気づかず、異常事態に気づくのが一般人の常識というアイデアが面白い。
●殺人者の動機も意外性があって良かった。この辺は見る人によって意見が分かれるかもしれない。もっと明確な動機を示して欲しいと思う人もいるだろうから。
でも、異常に才能がある者が道を極めていった先に、現実世界に失望し憎み、己が作品のために殺人にいたるという設定は、理解はできなくても想像はできる。明確には表現しにくい動機ゆえに、明確に描かず想像させる演出だと思う。
●その動機ゆえにヒロインが生き延びるラストにつながったのがいいアイデアだ。
武器を取ったアクションで殺人鬼を撃退するような安易な解決にしなかった。殺人鬼の動機の根源である料理の出発点と、心の奥底に残された人間性に訴えた逆転劇に関心した。
レイフ・ファインズが素晴らしい仕事をした。理解し難い殺人鬼の人間性を見事に表現している。
ヒロインのアニャも存在感があって良かった。
●惜しむらくはスタッフの動機をもう少し描いてほしかった。狂信的な宗教よろしくシェフに従うスタッフの背景が知りたい。
極上エンターテイメントであるのは間違いない。
衝撃の逆カスハラバトル
アニャ・テイラー=ジョイ
マイアミ出身の
イングランド系・スペイン系
の両親から生まれ6人兄弟の末っ子
14歳でNYでモデルにスカウトされ
20歳でドラマに進出
演技力を評価され「絶叫クイーン」
の異名を誇り活躍の場を広げる
いま最も旬な存在である
「ミッドナイト・イン・ソーホー」
での印象的な演技が記憶に新しく
個人的にもお気に入りの女優さん
主役も脇役もこなす起用さ
今度マッドマックスの
スピンオフのフュリオサも
やるとか
そんな彼女と
不穏おやじ演じさせたら
天下一品のレイフ・ファインズの
共演作の今作
どうだったか
久々にサイコなサイコーの一作
でありながらよくよく考えると
料理人ならではのカタルシスや
ジレンマをこれでもかと感じる
印象深い一作でした
伝説的な名シェフ
ジュリアン・スローヴィクの手がける
孤島のレストラン「ホーソン」
近海で取れた魚介類から山の幸
まで自然を余すところなく
ジュリアンを慕う弟子たちに
よって手がけられた絶品フルコース
それでいてコミコミで1250ドルと
予約が取れない割には
不気味なほどリーズナブル(かな?)
そんなひと時をを味わいに
美食ブロガー気取りのタイラーは
憧れのジュリアンに会うために
あんまりそういうのに
興味なさそうなマーゴを
付き合わせてホーソンへの
船を待ちます
するとそこに現れたのは
・ホーソンの出資者たち
・そこそこ有名な俳優と愛人
・料理評論家と記者
・常連っぽい老夫婦
などなど
マーゴはどうも老夫婦の
旦那のほうと面識があった模様…
船がホーソンにつくと
出迎えた従業員のエルサに
尋ねられマーゴは当初の予約と
違う名前だったと知ります
まぁ別に予約と違う人が来るのは
レストランの予約くらい別に
いいだろと思いますが
別の女と行くつもりだったのか
とマーゴはタイラーに嫌悪感を
まず覚えます
ホーソンに訪れると
ガラス越しの海から内部は
厨房を好きに覗ける自信に
満ち溢れた構造
しかし客たちは皆
自分たちの事情の話ばかり
しておりあまり料理じたいに
関心はなさそうに見えますが
そこで奥からジュリアンが
現れると手を一発大きく
パーーーーーーーーーン
と叩きその都度料理人が皆
整列しメニューが出てくる
流れになります
この手を打つ音がほんと毎度
スクリーンに響き渡ります
「食べないで味わってください」
など奇妙な言い回しで客に
料理の説明をするジュリアン
実際料理は創作っぽい
ポツポツした小粒料理
「パンは庶民のものだから
パンはありません」という
ソースのみのパン皿など
奇妙なものも出てきて
だんだん客たちは
ざわつき出します
料理評論家はソースを
一応味わいますがしっかり
混ざっていない点を指摘
しようとするとそのソースを
大量に持ってきたり対応も
おかしい
マーゴは全く手を付けず
トイレでこっそりタバコを
吸おうとするとジュリアンが
おもむろにトイレに入ってきて
「なぜ手を付けない」と
尋ねてきますが
おなかが減っていないからだと
かわしますが
予約と違う人間であることを
ジュリアンは見抜き
「君はマーゴではない」とも
言い出します
さて料理が進むと次は
「タコス」
ようやくマトモな料理が…
と思うと肉には幼少期両親が
もめたときに私が父親に突き刺した
という小ハサミが上に刺さっており
しかもタコスの包む生地には
レーザー刻印で様々な…
出資者たちには「不正会計の内容」
映画俳優らには「大コケした主演映画」
評論家らには「酷評記事」
老夫婦には「旦那のパパ活中の写真」
など見られるとマズイ事ばかり
マーゴが気まずくしていたのは
そのパパ活の相手が自分だったからです
そしてタイラーのは
「料理を撮るなと言われていたのに
こっそり撮っていた瞬間の写真」
いつ撮ったんだろうw
ここで客たちは激高
ふざけているのか!帰る!と
詰めますが帰るには船を待たないと
いけませんし出入口は屈強な男達が
塞いでいます
パパ活写真で居心地が悪くなった
老夫婦の旦那は無理やり帰ろうとすると
取り押さえられて指をちょん切られて
しまいます
ただごとではないのに
客によってはトリックだとか
信じようとせずタイラーは
黙々料理を食べてます
いよいよおかしくなってきます
その次の料理は
ジュリアンに憧れてホーソンに
来た若い副料理長が担当しますが
どうも憧れに届くことなく挫折気味
だったようで料理を紹介した後に
皆の前で拳銃を口に入れて発砲し自殺
その後に料理が出てくるなどいよいよ
狂ってきます
ジュリアンは表情一つ変えず
「代金に含まれているサプライズ」
だと言い張ります
出資者たちはコロナ禍でも店を
潰さなかったのにとか時事ネタを
ぶっこんで怒ります
レストランのオーナーにも
掛け合ってこんな店潰してやると
息まくとジュリアンは
それってあれですかと
窓の外を指すと天使の羽を
付けられたオーナーがクレーンで
吊るされ水面に沈んでいきます
このシーンはちょっと
笑ってしまいました
「ソナチネ」思い出しちゃった
むらかわさーーーん
やめてくださいよーーー
マーゴはすっかり
呆れているとジュリアンに
奥に呼ばれ
このディナーの最後は
全員の死で終わるが
君は関係ないから
「あちらの側」にいるか
「我々の側」につくか
選べと言われます
もううんざりですが次の料理は・・
ジュリアンが女料理人を紹介します
その彼女はずっとジュリアンに
言い寄られていた事を明かし
それでも憧れだったのでしょう
ホーソンに残り続けました
料理名「男の過ち」
彼女はジュリアンの体に
小ハサミを突き刺し抱き合います
なんかもう慣れてきた
ついでに男は45秒後に捕まえにいくけど
逃げてもいいよと言われるので
みんな逃げます
あっタイラーだけ逃げてませんが
「お前もだよ」と言われて逃げます
ここも笑いました
捕まるまで女性陣は店内で
待ちますがそこでマーゴは
さっきのどっちにつくかの
決断を迫られますがそこで
捕まった男たちが戻ってきます
(鳥小屋に最後まで
捕まらなかった記者には
ポーチドエッグのサービスが
あってここも笑った)
またここでタイラーが
このディナーの最後が
死で終わることを知っていながら
(マーゴ)を誘ったことを知り
マーゴはとうとうブチ切れ
さて次の料理は…
次はなんと隠し味などを
言い当ててきたタイラーが突然
料理着を着せられ作らされます
タイラーは不器用に野菜を切り
肉を焼きそれをジュリアンとその弟子
全員が見つめる中でやらされます
出来上がった料理を食べた
ジュリアンはハッキリ「マズい」
と告げ何か耳打ちすると
タイラーは料理着を脱いで
奥に消えていき
首をつって死にますw
何を言ったのかw
マーゴはそんな
タイラーを横目にジュリアンに
言われて樽をとってきてと
指示されカギをもらって
ジュリアンの私邸に行きます
そこで見たものは
ジュリアンの料理人になってから
これまでのキャリア
素朴な家庭料理を作っていた
時代から名声とともに様々な
出資者の要求や評論家の評価
心血を注いだ料理に
全然関心を示さないくせに
名前だけで食べにくる客
プレッシャーにさらされ
とうとう壊れてしまったのだと
知ることになります
自分は料理人じゃないけど
これは確かに料理人の
葛藤であるのかもと
思ってしまいました
高級料理店なんて会食や
パパ活のスケベおやじと
金目当てのクソガキしか
来ないのに腕を振るわなければ
ならないのなら・・
つまり今回のディナー
ジュリアンは復讐として
これまでの人生で自分に苦痛を
与えてきた出資者や評論家
料理もできないのに好き放題
ネットで書くブロガー
・・あれ?映画俳優は?
彼が疲れた時にふと見た
映画があまりにクソで
その主演が彼だった
からだそうですw
でもでも彼の彼女のは関係ない
んじゃないのと思っていると
大学の学費を自分で出してないから
「じゃあ死ね」とw
ブラックなんだけどどこか
笑えるあたり
アダム・マッケイ関わってる
感じがありありですね
さて結末に向かっていくディナー
ですがマーゴはついに手を叩き
ジュリアンに言い放ちます
「私が満足する食事が
まだ出てきていない
それでも料理人か」
するとジュリアンは
何が食べたいかと聞くと
マーゴは「チーズバーガー」
を要求します
するとジュリアンはまるで
憑き物が取れたかのように
「シェフの顔」に戻り
ポテトはおつけしますか
波型カットでいいですか
など細かく注文を聞き
一心不乱にハンバーグを焼き
ハンバーグとチェダーチーズを
重ねただけの素朴な
チーズバーガーを出してきます
マーゴはそれを頬張って
「持って帰りたい」と言うと
ジュリアンは持ち帰り箱と
お土産を持ってきて
アッサリマーゴを船着き場へ
帰してしまいます
マーゴの素朴な要求が
かつて楽しく客のために
料理していた自分を
一瞬よみがえらせたのかも
しれません
他の客にも土産を渡し始め
あれっこれここでみんな帰す?
と思ったらそんなことはなくw
ディナーのフィナーレは
キャンプよろしく「スモア」
(マシュマロとチョコレートを
あぶってクラッカーに挟むアメリカの
キャンプの〆の定番のようです)
客たちにチョコレートの帽子と
マシュマロのマントをかぶせ・・
激しく燃え上がるホーソンを
逃げ延びたマーゴはおみやげの
チーズバーガーを頬張りながら
呆然と見つめるのでした
いやー面白かった
ミッドサマー以来
なんかサイコなんだけど
気持ちのいいイカれ感
割と客もしっかり入ってて
それなりに注目してる人
多そうです
アメリカ的なオチ
調子に乗った昨今のグルメブームをブラック・コメディに仕上げた佳作。レイフ・ファレンズの落ち着いたジェントルマン然とした狂気は素晴らしい。アニヤ・テイラージョイも魅せる演技で準主役としては申し分ない。役者たちの和やかで寛いだ良い雰囲気で撮れた作品だと思う。密室劇とも言える演出は中々面白い。最後の「チーズバーガー」までブラック・ジョークだと捉えたら面白味が増す。まぁ、行き過ぎたグルメを強烈に風刺した作品だ。
レストラン側が支配する、五感で食す狂気の逸品
5組のお客さんを孤島に店を構える噂の高級レストランがもてなす。このレストランは前々から予約する必要があるが、それも客を知り尽くし、過去のネガティブな事象を調べ、料理という形で提供するのが狙い。今回急遽マーゴという女性が代理で参加した、そのためかレストラン側も困惑。代表シェフはマーゴに不可解な質問を投げかけると共に料理を提供していき、次第にレストラン内は狂気の空間となっていく。
料理を提供される以上に○を雑談されたり、自○を目の前で見せられたり、はたまた鬼ごっこをさせたりと心身共にご堪能できるレストランです。
怖さはあまりなく、モラル崩壊型ホラー。最後はミッドサマーを少し感じさせる演出でした。本来料理は提供されるサービスであるがそれを今回望まない形で提供される点は新しいと思った。
R15でいいよね?
簡単に言えば、ひとりの料理人を崇拝するカルト教団(料理人集団)が、集団無理心中するような話。
はじめは、孤島の高級レストランで次々とメニューが出されていくが、次第に不穏になっていく様が不気味です。料理人をレイフ・ファインズが怪演。バンと手を叩く時とか、いちいち不穏。客の秘密をあからさまでなく、徐々に明かしていくミステリ要素も面白い。特に主人公の秘密がなかなか明かされない。なお、主人公の恋人がなかなかイカれてて怖い。
また、一貫してコースメニューに見立てる演出が斬新!料理人は上流階級などに、キレて事件を起こすけど、主人公の行動で少し救われる演出は好きです。料理人も完全にイカれてなくて、人間なんだなあと思わせる。
不完全なメニュー
これ絶対面白いやつ~♪、と予告編観てからわくわくで臨んだのだが、期待値が高すぎて、「思ってたのと違う…」となってしまった。
間違いなく世界観とかコンセプトは面白いのだが、ストーリーが舞台設定を活かしきれてないように思った。
シェフはフルコース料理のストーリーの完成に異常な執着を持っている、という設定だけど、実際の映画のコース料理にそこまでのストーリー性を感じなかったのが残念だった。
罪、貧富の差、社会の矛盾、男性の醜さなど、それぞれの料理のテーマは面白いのだけど、それがストーリーになっているわけではない。「最後に全員死ぬことでストーリーが完全になる」、というのはどういう理屈なのか、その謎が明かされるのを期待していたが、とくに理由(オチ)があるわけではなかった。
「シェフの家にどんな秘密があるのか?」というのも期待していたのだが、単にシェフの過去と無線装置があるだけだった。
たとえば、「セブン」みたいな展開だったら「すごく面白い!」と言い切れたと思う。「セブン」の犯人の計画で秀逸なのが、自分自身の「嫉妬」と、刑事の「怒り」も「人類の7つの大罪を罰する」という目的を完成させるストーリーの中に組み込んでいたことだ。
この映画でも、主人公が逃走することや、その逃走が失敗することなども、シェフの完成したいストーリーに不可欠な要素として組み込まれているのであれば面白かったのに。
根本的には、シェフや料理人たちがなぜこんな大それた大量殺人計画を実行しなければならなかったのか、とか、なぜお客たちはもっと本気で抵抗しないのか、といったことに十分納得がいかない、というところが大きいように思う。
シェフが料理に異常な執着をもっていて、料理人たちがある種の洗脳状態におかれていることは分かるのだけど、それだけだと説得力が…。
映画観てて、これって監督が普段思ってることなのかなあ…、などとも思った。映画をどんなにこだわってがんばってつくっても、ファスト映画とかで雑に消費される。「俺は金払ってる側だぞ」と無茶な要求をされる。分かってる風の映画オタクに分かってる風な評論をされる。消費者の低レベルさ、傲慢さが糾弾されてる感じ。
最後のオチは良かった。シェフの料理へのこだわりを逆手にとった逆転。見事な短編小説みたい。昔話的でもあるかな。
【美食を求めて集った選ばれし裕福な人々に、天才シェフが振舞ったメニュー。人はいつから美食に耽溺する生き物に成り下がったのか。今作は美食を追求する愚かしき人々の姿を、強烈に痛罵した映画である。】
ー 19世紀の、サヴァランの著書「美味礼賛」が発行されたころから、人は美食を追求するようになった。但し、それは貴族など極、限られた人たちであった。
今作は、昨今の美食を求める人々の姿をブラックダークに揶揄、痛罵した映画だと思う。
ミシュランガイド、食べログの評価に振り回される人々と、世間の評価を気にしながら、必死に美食を提供しようとする店。
一方では、食の廃棄、餓えに苦しむ国もある。
今の世界は、オカシイのではないかという制作陣の声が聞こえてきそうである。-
■天才シェフ、スローヴィク(レイフ・ファインズ)の店、「ホーソン」に集った人々。
1.美食家を気取るタイラー(ニコラス・ホルト)とその”恋人”マーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ)
2.リッチな熟年夫婦。11回も「ホーソン」を訪れながら、スローヴィクから、”以前何を食べましたか”と問われても答えられない。メニューが進む途中で夫の浮気も発覚する。
ー 典型的な、似非美食家である。夫婦の表情は入店時から暗い。-
3.落ち目の映画スター(ジョン・レグイアモ)と、愛人アシスタント。
ー 愛人のアシスタントと、店で揉める映画スター。味覚は大したことが無い。-
4.不正により大金を獲得した、IT長者トリオ。
ー 彼らも、”「ホーソン」で食事をした”というステイタスを求めるためだけに店に来ている。-
5.スローヴィクの才能を見出した、女性料理評論家と編集者。
ー メニューの途中で、女性評論家に”これでもか!”と供される大量の料理。
私は、料理評論家と言われる人が嫌いである。”自分で作ってみろ!”-
◆感想
・絶対的権力を持つと思われる、天才シェフ、スローヴィクとシェフたちの”あと、5分で作れ!”と言う指示に対し、”イエス!シェフ!”と一糸乱れずに答える姿が、異様である。
給仕長のエルサ(ホン・チャウ)の、笑顔一つ見せずにスローヴィクの指示に従う姿も。
ー 洗脳ですか?と思ってしまった程である。少し笑えるが、異様な風景には変わりはない。-
・牡蠣のアペタイザーから始まり、料理は進む。
だが、マーゴのみが、”牡蠣はそのまま食べたいわ”と言ったり、率直な感想を述べる。
一方、タイラーは禁止されている料理の写真を撮って、燥いでいる。
ー 序盤でのマーゴの言葉と、スローヴィクの”貴方はここに相応しくない・・。”と言う言葉の意味。
マーゴは、実は娼婦で貧しい育ちをしてきた事が、さり気無く、会話の中に盛り込まれている。
この会話が、後半に効いてくる。巧い演出である。-
・三皿目にメニューについて来た、トルティーヤに客たちが行って来た悪事がプリントされている事を客たちが知るシーン。
ー IT長者トリオの不正や、リッチな熟年夫婦の夫の浮気が明らかになり、店に漂う不穏さは増して行く。-
■驚きの四皿目。スーシェフのジェレミーが作った料理が供されるが、スローヴィクはジェレミーの料理のセンスがない事を皆の前で彼に認めさせ、ジェレミーは口中に銃口の先を向け、自殺するシーン。
ここは、驚いたなあ・・。そんな中、独り、料理を美味そうに食べるタイラーの姿がブラックである。
・五皿目では、リッチな熟年夫婦の夫の指が切り落とされる。
ー ココにきて、このレストランで行われている事は、スローヴィクが美食を求めて集った選ばれし愚かしき客を罰する場である事が、明確になる。-
■スローヴィクがタイラーを厨房に呼び、”何か作れ!”と命令し、出来た羊肉のバター炒めの味を皆の前で酷評する。
そして、タイラーの耳元で何かを囁く・・。動揺した彼は、厨房を出て首を吊る・・。
ー 生半可な食通気取りの男タイラーを罵倒するスローヴィクの姿には、共感する。-
<マーゴを自分の部屋に呼び出した、スローヴィクに対し、マーゴは”全然、満足できない”と言い放ち、昔食べた味の、チーズバーガーをオーダーする。
スローヴィクは、その要求を呑み、彼女にチーズバーガーを作り、”彼女だけ”店から解放する。
その後、彼は店全体を綺麗にデザートとして彩り、自ら店に火を放つ。
舟の上から、その光景をチーズバーガーを頬張りながら、見るマーゴの表情が印象的である。
今作は、現代の美食を追求する選ばれし人々の姿を痛烈に揶揄、痛罵、批判した、ブラックダークな、美食映画なのである。>
自称美食家の皆様へ。スパイシーな挑戦状。
全ての自称美食家の皆様に味わって頂きたい怪作。
孤島のレストランという
限られたシチュエーションで
飽きさせない仕掛けの数々。
サイコパスなのに共感もさせられる
伝説のシェフ、スローヴィクの料理愛。
アニャ・テイラー=ジョイ演じるマーゴの発言が
一つ一つ芯を食っていて(と思いたい)
美食とは全く縁のない貧乏舌の自分は
心の中でずっと頷いていました。
超高級レストランを舞台に届けられる
自称美食家&自称グルメマニアの皆様への
スパイシーな挑戦状。
庶民の自分はとても美味しいく頂けました。
アニャ・テイラー=ジョイさんの魅力が全開の極上サスペンス
レイフ・ファインズさんのサイコなシェフの怪演ぶりとサスペンスフルな映像・音楽でピンと張った息をのむ緊張感が続き、グイグイ引き込まれました
そして怪物シェフに毅然と対峙する女性を力強く演じるのはアニャ・テイラー=ジョイさん、眼力が強いクールビューティな雰囲気と全身からにじみ出るゴージャスな雰囲気が完璧に合わさりすごく綺麗でした
作品自体の評価は☆3つですが、最高に魅力的なアニャにプラス☆1つ
心をこめて作った料理に対する世間の軽薄な侮辱・冒涜は天才料理人をサイコなシェフに変貌させ、絶界・孤島のレストランに一人10万円を超える人数限定の超高級料理と銘打ち復讐のターゲットである客を集める
フルコース料理をサーブしながら徐々に客を精神的に痛めつけていき、最後は皆殺し、その後 自分やレストランの従業員も含め全員自決するという衝撃のエンディングへ向かって突き進むぶっ飛んだ内容
シェフ個人の怨みと行動なら解るが、従業員達も含めこれを組織だってやる/やれる理由が不明だし、フルコースが進むにつれて異常に気づき出す客達だけど、力ずくで応戦せず、なすがままになったのはなぜ?といった根本的な突っ込みどこはありますが、総じてとても面白かったです
全員死ぬ中でたった一人生き残ってレストラン/島から脱出できるのは、アニャ・テイラー=ジョイさん演じるマーゴだけ
彼女はシェフの復讐心に気づき、シェフのキャリアの原点になったチーズバーガーを特別にオーダーし「旨い」と賞賛することでシェフの傷んだ心を救い、店と島からの脱出に成功する
結局、傲慢な連中は全員死に、洒落た料理になんか全く興味がないマーゴだけが生き残るという皮肉な顛末
最後、マーゴが脱出したボートを停め、ほお張るチーズバーガーがすごく美味しそうでした
食べることは、生きること
不穏で奇妙な世界観、登場人物に「何故?何故?」と考察しながら、惹き込まれ、目が離せない感覚はあり。ただ、見終わっても、高揚感は薄い。一切無い方もいるのでは?
伏線回収~!最高!!の様な超絶スッキリムービーではないので、誰かにオススメしたくなる気持ちにはならない。
深夜微睡みながら、「…なんかすごい映画かもォ~…」とついつい結局観てしまい、「うわ、もう3時やん…」と少々がっかりした気持ちで寝るのが似合う。
宣伝等は見ず、別映画鑑賞前の予告のみ、また前情報は当該映画のチラシのみ拝見の元、鑑賞。チラシにあった登場人物の簡単な紹介を読んでいた為、話の展開は理解しやすかったが、勘のいい方は、そのチラシで充分かもしれない。
他のレビュアーの方々が仰るように、じんわり各々で考察、理解、納得しないといけません。
「まるでお料理のように、目で楽しみ、耳をすまし、嗅ぎ、器、盛り付け、関わった人々の意図、願い、、全ての背景を想像しつつ堪能致しましょう…。」
そう考える事ができる人には評価が上がるのではないでしょうか。
逆を言えば、話題の映画を観たという腹を満たすだけ、SNSへ掲載したいだけ、通を装いたいだけ。
「映画を味わう」気はなく、ただ流し込もうとする方々には全く理解ができないまま、ラストシーンを迎えることとなる。「何故か?」と言う疑問すら最早口にする事も諦め、抗うことなくこのレストランの客と同じ末路を辿るであろう。
いわゆる伏線回収シーンはそこかしこにあるのだが、ラーメンやカレーのように決してわかりやすい訳ではない為、これもまた、そのシーンを咀嚼し、堪能しなければならない。
その為、観る者によっては何一つ意味がわからないクソ映画と変化するスパイスも調合されている。
つくり、与える側。その元々の志は皆、「喜んで欲しい」それだけだ。
それがいつしか地位や権力、名声、金、不信…そういったしがらみにのみ込まれ、当初の純粋な志は掻き消される。混濁にあの頃の自分を見失う。
20万円のコース料理に手を付けず、たかが1000円のチーズバーガーと波形カットのポテトをおいしそうにほおばる客。
「うまいもん食って腹を満たしたい」、「頑張って作るから喜んで欲しい」、双方一方的であったはずの思いが、満たし合い、笑みがこぼれ、肉汁と共に愛が溢れる。
スローヴィクが純粋だったあの頃を思い出す、この映画唯一の胸熱シーンだ。
狂気と冷静の狭間を怪演するレイフ・ファインズは美しく、見事だ。
映画制作者達は、まるでこちら側を試すように、自信を持ちつつも賭けの様な気持ちで挑んでくる。それはまさにこの映画の料理人スローヴィクと同じ。
最後のシーンに登場する俳優がこちらをじっと見つめ、「あなたはどっち側?」と問いかけてきた気がした。
制作者自ら自分達への戒めとなるよう、はたまた風刺を込め、料理になぞらえた断罪ムービー、芸術版「セブン」を創りあげたといったところであろうか。
食べることは、生きること。
生きているのは、生かされているということ。
謙虚さを見失わず、生きていきたいですね!笑
さて、、
呑んだくれのお母さんや本日のメニューである客が巻き込まれた理由はわかったけれど、レストランスタッフの従順さの背景はわからなかった。尊敬だけであの人数がまとまるか?宗教?催眠?恐怖?
そこがもう少し伝わると面白かったかな!
ごちそうさまでした!!
命を奪い、命を頂く。
最近「あれ、この子また出てる」と思う
アニャ・テイラー=ジョイ
個性的でエキゾチックな顔立ちなので、インパクトがあるんですよね。
デスゲーム系かな〜と思いながら鑑賞したけど
結構受け身でしたね笑。
出てくる“意識高い系”のレストランのコンセプトなどは面白かった。
目の前に迫る死を感じながら
それでも生きる(食べる)事を強いられるバランスが絶妙。
海外にも食べログみたいのあるのかな?
(ミシュランがあるくらいだから、あるか)
今はネットで勝手にみんなレビューするしね
(この映画レビューもそうですネ😅)
それに対するアンチテーゼ的な、風刺が込められてるようにも感じた。
コロナにも少し触れてましたね
やはり飲食店は世界的に大変だったよね……
(エンタメもだけど)
あのグルメ男はずっといけ好かなかったな〜笑
ウンチクガンガン言う割に、料理下手かい!笑
他にも登場人物多いものの、何となくそれぞれ分かりました。
ちなみに、見た映画館ではコラボメニューがあり
チーズバーガーとベルガモットティーを販売してたんだけど
めちゃくちゃ悩んでパスしてしまいました……笑
お口に合いませんでした (/_;)
けっこうなムナクソ映画でした。
というのも、こういう押し付けがましい店主に昔ブチ切れた経験があるからでございます。
渋谷の呑んべい横丁の焼け跡闇市派の有名な焼鳥の老舗でした。
コースの焼鳥を大先輩が奢ってくれたんですが、込み入った話があって、順に出される焼鳥をすぐ食べなかったことに対して、自己中のうるさい店主が「俺の焼鳥は不味いのか?」的なニュアンスで食ってかかって来たのです。
今もその店あるかって?
そんなの知らん。店名も覚えてないし。
焼き鳥の串で太腿を刺してやればよかった。
さて、ラストナイト・イン・ソーホーでブレイクしたアニヤ・テイラー=ジョイちゃん。
ちょうど今、ディオールの広告塔になっています。
目が大きくて、鳥のヒナみたい。
反発心旺盛なおねーちゃん役良かったです。
釣りバカ日誌の課長の谷啓が喪服のズボンのお尻が破れて、女子社員の久実子の山瀬まみに縫って貰おうと接客室に招き入れ、ズボを脱ぐと山瀬まみがセクハラ行為だと早合点して絶叫。部下たちに弁解する谷啓が放った一言を思い浮かべていました。
誰がこんな鶏ガラみたいな女
山瀬まみは顔をくしゃくしゃにして、「こんな会社辞めてやる~」
すると、「お尻だって洗ってほしい」のTOTOのウオッシュレットのCMでお馴染みの戸川純が「あんただけ辞めさせやしない」と、ハサミのさきをちらつかせて、課長を威嚇。ハマちゃんが間に入ってなだめます。
さて、
離れ小島のレストランや磯の生物の瑞々しい映像にはワクワクしましたが・・・・
ホタテの貝柱まんまオンザロック。
パンのない添えソース。
ぜんぜん、そそられません。
トルティーヤとタコスの違いがわからないオイラ
画像の熱転写ですか?
個人情報ダダモレ。
これはちょっと面白かった。
さすがキングスマン。
それから、副シェフの自殺。
これはシャレになりませんね。
薬指を詰められる老紳士。金のリングが床にコロコロ。動物の彫刻はなかった。
お客様に危害を加えるなんてね。
自分の太腿にハサミを刺した後の鶏肉のソテー。
これは普通じゃん。
いちいち、パ~ンと叩かれる手がうるさいよ。
高慢ちきで、や~な感じ
アシスタントたちも、イエッサーって、でかい声。ツバとんでるよ!
押し付けがましく、忖度を強要されるのは我慢なりません。
最後はダブルチーズバーガーのお持ち帰りに初心を思い出してか、一人だけ人質解放。連れてきた男はすぐ殺したのにね。
わけがわかりませんでした。
バーガーの肉は男の肉だとよかったです。
レイフ・ファインズ。
もういい歳で、分別ざかりもとうに過ぎたのにね~ トホホ
金返せとまでは言いませんが・・・・
料理もコテコテ飾った高級なものより、素材を生かしたものが好き。
サスペンス・スリラーは苦手。
ホラーはB級に限る!派です。
結局は"アレ"が一番うまい
究極の料理を食べに島まで訪れた12名。
厨房が見える席についた客達の元に聞いたこともないようなオシャンティーなコース料理が。
でも徐々に皮肉混じりになっていき、最後には料理人も客もみんな死んで完成するという狂気じみたものに。
アニャ美しいし、隔離空間サスペンスホラーの世界観が好きなので、なかなか楽しめました😂
とりあえずチーズバーガー買って帰えろうw
退屈はしないけど、モヤモヤ
2品目くらいまではいい感じだったが、それ以降は飽きないけど、モヤっとした展開が続きます。
シェフの動機がわかった後も、こんな事で皆殺し?なんで料理人達も洗脳されてるみたいに言いなり?なんで結託してシェフをやっつけないかなぁ。沿岸警備隊もグルなら来なくていいのに。
もう少しシェフの背景見せてくれたらモヤモヤも晴れたのかも。それでも最後まで飽きずに見れたのは役者のおかげでしょうか?好き嫌いが分かれそうな作品でした。
アダム マッケイ製作だったか。なんか風刺もあるのかも。
味付けが上手くいかなかった料理
雰囲気や出演陣は良かったと思います。が、所々ストーリーに違和感が。サイコパスなシェフが"最後の晩餐"に壮大なメニューを考案して実行するのは理解するとして、スタッフそもそもそれに同意・同行するんですか?とか。客に対する罪の判断度合いにバラつきあり過ぎませんかとか。結局ニコラスホルトが最後は皆死ぬと予めネタバレされた理由は何ですかとか。
主演の女優さんは印象的でしたね。彼女の魅力でだいぶ救われてる気がします。
終始ニコラスホルトの役柄にはイライラしましたね。写真撮るなって言われてるのにパシャパシャ料理の写真撮りまくるとか。平気で人の分の料理も食べるとか。こう言うマナーの悪い輩は人に迷惑かけるからホントに家で大人しくしてろって思います。
最後に。久々に映画館で映画を観ました。トップガンマーベリックもそうですが、やはり劇場で観ることの特別感みたいなのは確かに在ると思います。ストリーミング等でどこでも手軽に観れる時代ですし、ゆくゆくは劇場体験も廃れていくのかも知れませんが、唯一無二のこの体験を、最後まで色んな作品を通じて味わいたいと思いました。
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