「料理は味わうもの」ザ・メニュー bionさんの映画レビュー(感想・評価)
料理は味わうもの
「こんな高級レストランは嫌だ」を地でいくブラックスリラー。食べるそばから蘊蓄を語って、ウザイことこの上ない味音痴の男、自分の影響力を誇示するために前途あるシェフを酷評して再起不能にしてしまう美食評論家、料理に興味がないのに、箔をつけるためにやってきた3人のエリートサラリーマン。そんな奴らが、レストランがある孤島に集められる。
アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』を予感させる中、「ハイル・ヒットラー」ばりの「Yes chef」をスタッフ全員が声を合わせる。シェフの大きな柏手とスタッフの掛け声が響くたびに、見ている方も緊張を強いられる。
ブラック・コメディーの範疇を超えた衝撃の出来事は、下手なホラーより怖い。
レイフ・ファインズのただならぬ狂気に気圧されるゲスト達だが、アニャ・テイラー=ジョイだけは、デカイ目を前面に押し出して対抗する。二人が睨み合う張り詰めた空気は絶対、何かが起こりそう。
料理はリラックスして味わうのが一番。その対極の物語でございました。
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