「設定の妙」カラオケ行こ! komasaさんの映画レビュー(感想・評価)
設定の妙
途中何度も笑いをこらえていたのに、クライマックスでは思わずほろり。手のひらの上で心地良く転がされてしまった。
合唱部と映画をみる部、おとんとおかん。聡実少年の世界は、とてもバランスが取れていたんだと思う。特に映画をみる部に居場所を作っているあたりに彼のバランス感覚の良さが伺える。
だが、合唱部の顧問の先生が産休に入り、自分は引退目前で変声期を迎える。これまでと同じではいられない、そんな中学三年生。
この設定だけで幾らでもストーリーが作れそうだが、この物語ではヤクザという青少年に対しては禁じ手ともいえる劇薬を投入する。そしてあろう事か、距離感が近すぎるヤクザの狂児と、ツンデレ中学男子の聡実による王道のラブコメのような展開へと進んでいく。
聡実が狂児の身を案じて、組長の誕生日会に乗り込む聡実。そこで組長や組員へ啖呵を切ってからの紅の絶唱。大切な人のために怒り、大切な人のために歌う姿はとても見応えがある。
そして、ミナミ銀座の取り壊しとともに、聡実の中学生活は終わりを迎える。最後のエピソードは蛇足のようにも思ったが、このほうが今時だし作品の雰囲気にも合っていて良いかなと思い直した。
…
途中の細かな話にも無駄がない。うまく使い分けられた怒りの表現が、良いメリハリとなっていた。
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