「でーじヤバい。」遠いところ Noriさんの映画レビュー(感想・評価)
でーじヤバい。
でーじヤバい。笑いなし、救いなし。
行きつけの銭湯にチラシがあって、気にはなっていたので鑑賞してみた。
タイトルの「遠いところ」。劇中で「『遠いところ』に行きたい」という旨の台詞があったのもあるが。彼女たちの立っている、生活している足元が、我々スクリーンの前に座る観客の依って立つところからあまりに「遠いところ」だな、と感じずにはいられない。
人は、遺伝の影響を少なからず受けつつ、環境というスパイスも合わさって、個々の人間として成長していく。親から受け継いだものも環境も、ダメだこりゃ、というガチャガチャの産物。あの状況下でどうやって生を紡げというのか。
主人公・アオイほか、その仲間たちは今日も泥水を啜って生きていく。そして、それ以外に道はなく、明日も泥水を啜るほかないのだ。
履歴書の文字の汚さ(そして、中身のなさ)、時給をはじめ労働条件の劣悪さ。金はないのにタトゥーには金をかけている、しかも、そのタトゥーのセンスが酷い。身体を売って、パートナーには殴られ、役人達にはパターナリズムを以て扱われ。自尊心が立ち上がる余地なし。
彼女(たち)の手元には、一体何が残るというのか。
おそらく、この状況は変わらない。そして、無限に再生産されていくのが現実なのだろう。
それでいいと肯定する訳ではないが、私たちは自分の持ち場でそれぞれ頑張って、楽しく生活をしていく。ささやかな幸せを携えた者が、少しでも存在する世の中を維持するために。
彼岸にいる者の逃げ口上に過ぎないのだろうか。
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