「【”ボクは、お母さんとも”二人のお父さん”とお兄ちゃんお姉ちゃんたちとも、一緒に暮らしたいのに・・。””期間限定の家族”だからこそ、1640日の時の大切さが、観る側の心に伝わって来る作品である。】」1640日の家族 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”ボクは、お母さんとも”二人のお父さん”とお兄ちゃんお姉ちゃんたちとも、一緒に暮らしたいのに・・。””期間限定の家族”だからこそ、1640日の時の大切さが、観る側の心に伝わって来る作品である。】
ー 人権や児童福祉を重視するフランスでは、里親制度は”里親の使命感で成り立ち、文化として存在している。と実際に子供の頃、両親が迎えた子とともに暮らした経験があるという、ファビアン・ゴジュアール監督は語る。
そして、今作には”私の個人的な感情や、記憶にあるシーンをシナリオに織り込んだとも・・。-
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・里親制度であるから、シモンを引き取ったアンナ(メラニー・ティエリー)と、夫のドリスには親権はない。故に、シモンが幼い頃に妻を失い、シモンを里子に出した、実父から”もう一度、息子と暮らしたい。”と申し出があれば、審査機関が実父に子供を戻しても大丈夫かどうかを、厳密にチェックする。そして、大丈夫と判断すれば、今作のシモンの様に、実父の元に返される。
ー 日本でも同様のケースはあるが、観ていると実父よりアンナに肩入れしてしまう。
又、上記の様なフランス風土の為か、実父がアンナと、夫のドリスに対して、感謝の念が薄いように見えてしまう‥。だが、あれが普通らしい。何時かは実の親に返す日が来ることを念頭に置いて、ソーシャルワーカーは、里親に対し、”里子を愛し過ぎないように”とアドバイスしたりするそうである。-
・アンナとシモンは、いつかは別れる日が来ることが分かっていて、クリスマスや雪遊び、そして内緒でアンナはシモンに”ママ”と呼んだりすることを、お願いする。
ー 愉しいシーンだが、その後の展開を考えると、何だかほろ苦い。実父が、アンナに”算数を教えてくれないか・・。週末に遊べなくなる。”とお願いするシーンも、フランスらしいが・・。-
・そして、シモンとの別れのシーン。
ー ここは切なかったなあ・・。車を出そうとするアンナに”ママ!”と言って駆けてくるシモンの姿。-
■そして、暫く経って、アンナが子供達と映画を観に行った帰りに子供達が言った事。”シモンだ!”と言って皆で追いかける姿。
彼らが見たのは、シモンと実父が楽しそうに歩いている姿だった・・。
<今作は、フランス独自の里親制度がベースになっている。
が、”期間限定の家族”だからこそ、1640日の時の大切さと、その先にある”二つの家族”の幸せを捉えた視点が心に残る、佳き作品である。>