「ハリソン・フォード=インディ・ジョーンズと運命のファイナルラウンド」インディ・ジョーンズと運命のダイヤル とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
ハリソン・フォード=インディ・ジョーンズと運命のファイナルラウンド
博物館に収めるべきだ!待ちに待った5作目、これは『レイダース』でも『最後の聖戦』でもない。それでもハリソン・フォードがインディアナ・ジョーンズというこの映画史上屈指のアイコニックなキャラクターを再演して帰還し、おまけにナチスを殴るのを見られることは、一映画ファンとしてこの上ない喜びなのだ!! ルーカス&スピルバーグ神演出のドリームチームにはやはり劣るが、それでも彼らが成し遂げてきたスピリットに損なわず近づこうという気概は感じられた。伝説に相応しい幕引きかはさておき、この長年愛されてきたシリーズによく合った終わり方だったのではないか。ぼくらはこの先も彼のことを忘れないだろう。今はたくさんの愛と感謝を伝えたい、ありがとう。
インディ・ジョーンズの様式美とマナーに則った始まり方からワクワクしたと同時に、こういうヒットシリーズかよほどの懐かしベリー案件でもない限り、今の時代にゼロからは同じ規模の予算ビッグバジェットをかけて大々的に製作することはほぼ不可能といって過言でない、めっきり作られなくなったタイプの作品だなと感じた。そして予告で見て予想していたよりも全然長かった第二次世界大戦・過去パート。一連の『スター・ウォーズ』作品、とりわけ若返らせるという点で、ルーク・スカイウォーカー役のマーク・ハミルを若返らせてみせたあの技術が大活躍。最初の頭に被せられた袋を取られ、顔に照明を当てられるシーンなんかでは少し浮いた感じもしたけど、見る内に気にならなくなっていった。
…からの舞台は1969年!人類が月面着陸に成功した年、そして我らがインディはいよいよ退職を迎えるが?予告編"悪魔を憐れむ歌"、本編"マジカル・ミステリー・ツアー"という、インディのキャラクターの履歴書を語る上で、そしてこれから始まる冒険への出発にこの上なくピッタリな選曲から幕を開ける。かのスピルバーグ御大からバトンを貰ったジェームズ・マンゴールド監督が持ち込んだ新たな視点と、インディ親友の娘役で今回の相棒フィービー・ウォーラー・ブリッジの傑作ドラマ『Fleabag』とは異なる快活な魅力、あと言わずもがな"北欧の至宝"マッツの安定した悪役っぷり、そして『アンチャーテッド』に続き最近ゲスト枠かあまり活躍しないアントニオ・バンデラス。
インディアナ、最後の冒険へ。出ないと分かっていてもあのキャラクターの死を知るのは悲しかった。最後だし遂に来るところまで来たな、という作品終盤の一種振り切れた展開は賛否両論ありそうだけど、個人的には無しじゃなかった。戻っても誰もいない"現代"。カーチェスの多さや遂に海にデビューしたりと、多少方法論が変わっても純粋な楽しさは健在!純粋に気分が高揚する"楽しい!"を突き詰めたエンタメ。それ以上なにがある?映画ってこういうことだよな。なにも高尚なメッセージなんかなくても良い。ただ彼がそこにいさえしてくれれば…。最後にはうるっとエモくなってしまった。歳を重ねるとどうしても愛する人との死別も増えていくから。これからMCUデビューもするハリソン・フォードにはまだまだ元気に現役で活躍してほしい!!
P.S.『逃亡者』になっていた状態はどうやって身の潔白を証明したのか?