「言いたいことは山程あるが、最後は涙目になっていた。」インディ・ジョーンズと運命のダイヤル 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
言いたいことは山程あるが、最後は涙目になっていた。
体力的には元気そうだが、インディの老いというテーマを前面に持ってきた最終作。歴史を変えても、もう研究した過去に世界に置いて行ってくれと言うインディの情けなさは、おそらくシリーズ全体を台無しにするのではという否定的見解もあると思うのだが、老いを描く以上、これはこれで納得のいく展開ではあった。
しかし、理屈で考えてNGであることは明白で、命を助けたいというだけでなく、てめえは学者だろうよ、学問を守ってきたんじゃねえのかよとウォンバットが殴り倒すのは素晴らしかった。心情的にインディの弱さはわかる、しかしそれだけでは済まされない以上、若い世代がなんとかしてくれたことに希望がある。この映画を観てよかった、と思えた一瞬だった。
そしてその後のあのひとの再登場と、まさかの1作目でもっとも小っ恥ずかしかったシーンの再現に涙目になっていた。この涙は、ほぼ100%ノスタルジーでしかないとわかっているが、インディとマリオンがやはりお互いしかいないのだという答えたどり着けたことに、フィクションの世界とはいえ心からよかったと思えたのだ。感傷的でズルいが、これだけ長いシリーズだからなし得たラストだと思う。
この2点を除くと、正直、なんでこんなに下手クソで、盛り上がろうにも盛り上がれない冗長な映画にしてしまったのかと呆れる。序盤のアクションで帰りたくなったくらいだが、我慢したのは単にインディ・ジョーンズの最後を見届けようという義務感からでしかなかった。人の命の扱いも、シリーズのルールが変わったのかと思うほど雑で、なおかつ暗い。バンデラスの出し方と消し方とか、事情は知らないが、あんなのでいいと思ってるんだったら心から反省してほしい。意外や小物感をただよわせたマッツ・ミケルセンは良かったです。
レビューとても共感しました。
演者たちには拍手を贈りたい。
ただスピルバーグならではのカメラワークとか表情の抜き方とか、死の扱いなどは全く別物でした。
ディズニー吸収後の「エンタメ平坦化」がこの映画にも施術されてしまった感があり、その寂しさが強いですね。もうこれ切り、続編やウォンバット主役のスピンオフとか、やらないでもらいたい感じです笑