「暴力を暴力で返すことでしか正義が成りたたない世界」ヴィレッジ ジョーさんの映画レビュー(感想・評価)
暴力を暴力で返すことでしか正義が成りたたない世界
理不尽と暴力と欺瞞に満ちた村長とその息子。
ふたりが運営する廃棄物処理工場の不法投棄。そして裏に潜む反社組織、
正義は「クズ」どもに対抗できるのだろうか?
いや、従業員の主人公とその恋人の愛の絆をもってしても、正義が勝てない。
暴力を暴力で返すことでしか正義が成りたたない世界。
本作の救いのない哀しみはそこにある。
まともに生きていこうとすることを阻止する、腐りきった村の慣習。
まともな伝統は薪能だけ。
およそ常識など通用する余地などない。
横浜流星は、救いのない哀しみの、とても微妙な部分を見事に表現。
黒木華も、表情だけで複雑な感情を縦横無尽に操る。
はかない正義を冷酷に打ち砕く、古田新太、一ノ瀬ワタル、杉本哲太の圧倒的な「クズ」ぶりに声を失う。
希望に変わることのない絶望から逃れるには、村を出るしかない。
そして何があろうと村に戻ってはいけない。
最後まで、救いのない哀しみが消えることがない圧巻のサスペンス劇。
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