「初デビューということまで考えると、他作品との関係では。」オカムロさん yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
初デビューということまで考えると、他作品との関係では。
今年302本目(合計577本目/今月(2022年10月度)16本目)。
この映画ですが、監督は長編映画デビュー作である点はまずあげておく必要があると思います。
70分ちょっとという事情もあり、やや説明の足りない点や不親切な点などはあるとしても、その長さで一応の幅に収めきっていること、さらに、特殊な事情もあり(下記参照)、映画全体として監督の方の「思想」を明確に感じられたので、他作品との兼ね合いで極端に大きく引けません。
ここ最近の映画だと、散々酷評されまくった「それがいる森」や、ちょっと前の「黄龍の村」のタイプのホラーアクションものですが、その趣旨は明確にわかるし、最近書いているいわゆる「ジャンル騙し」や「ストーリーが(海外作品や、日本作品でも極端にぶっ飛んで)理解不能」という点にはなっていないことまで踏まえると、そこまで低評価か?というとそうでもなく、「確かに配慮不足やわかりにくい点はあるが、監督の方の思想は理解できるし賛同もできる」という点です。
なお、「オカムロさん」が誰なのかなどのことは映画の趣旨的にネタバレになってしまうので省略します(というより、30分くらいでわかるようになっています)。
採点は下記の通りで4.5に七捨八入しています。特殊な論点が多いです。
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(減点0.7/日本の法律的におかしい)
・ 「「オカムロ」などの単語をネットで検索することを禁止することを(政府が)決定し…」の部分です。
結局、国会単独主義、国会中心(唯一)主義(法律を制定できるのは国会だけ)という点や、こうした部分がいわゆる「知る権利」(積極的に情報を得る権利も含む)の観点で問題になりうる点は確かにあります。
ただ、民法や各種の行政法規としておかしいという指摘はまだしも(条文上明確におかしい点が指摘できる)、この点は極論は憲法論になってしまい、いわゆる「知る権利」は判例上認められた「新しい人権」(憲法13条による)による、という特殊な事情があり(戦後の判例で認められてきた、明記されていない「新しい人権」)、単なる「調査不足」といった点とは明確に違う(←監督の方が誰しも司法試験やら行政書士試験の憲法の科目に目を通すのか、という話)で、この点は「初めての監督の方」という点も踏まえると、確かに指摘はするし減点幅も多いけど、それだけで1.5も引くのか?というとそれも微妙です(誰であっても、明文規定のあるものでない以上は減点幅は小さくなる)。
(加点0.3/男女同権思想)
・ この映画には伊澤彩織さんが出演されています。「ベイビーわるきゅーれ」で一躍有名になった方ですね。男女問わない「スタントパフォーマー」の考え方を提唱されるように男女同権思想はこの映画からかなり感じられます。
映画のストーリーとしては、まだまだどうしても、「男性が女性を襲って…」というような、明確ではないものの「なぜかしらの上下関係」がどうしてもまだ存在はします。ただ、伊澤さんが出演されている関係かこの点は結構クリアで「男女関係なく、強い人が強い」というように描かれているし、(エンディングロールでは1回しか出ませんが)他の女性の方のアクションシーンも指導されているのか、かなりこの点配慮があります。
すると、同じく憲法論の「男女同権思想」の部分も若干意識されているようにも思え、初監督の方など同じ週に公開される中でどうしても「ハンディ」があるといえる中で、極端に変な方向にいかずにこれらの話題に入り込んで正しく描写されている、という点は加点要素になりうると思います(もっとも、この点は伊澤さんの尽力もあると思いますが…)。
※ したがって、伊澤さんの協力(指導?)があったのか、アクションシーンは手抜きなくちゃんと作られており、CGだの何だのと酷評された「バイオレンス・アクション」とは明確に違う点は言えます。
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