劇場公開日 2022年6月17日

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「ナワリヌイ氏本人が信じられないミッションに挑み驚愕の事実を鷲掴みにする快進撃が笑えるけどゾッとする、とことんガチな『ミッション・インポッシブル』」ナワリヌイ よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ナワリヌイ氏本人が信じられないミッションに挑み驚愕の事実を鷲掴みにする快進撃が笑えるけどゾッとする、とことんガチな『ミッション・インポッシブル』

2022年6月19日
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鑑賞方法:映画館

まずナワリヌイ氏の強烈なキャラクターに度肝を抜かれます。映画は2本作ろう、まず1本は面白いやつ、私が死んだ後に真面目なやつを1本と笑いながら言い放つそのキャラクターにグッと引き込まれます。飛行機内で体調を崩して昏睡状態に陥った自身の体内から神経剤ノビチョクが検出されたことを知らされたことも「殺したいならなぜ撃たないんだ?そんなもん使ったら政府の仕業だってバレバレじゃないか!」と楽しそうに語る。そしてそんなナワリヌイ氏を支えるスタッフや家族もとにかく逞しい。特に奥さんのユリアさんのカッコよさは格別で、緊急着陸後ナワリヌイさんが搬送された病院に駆け付け、こんな病院にいたら何されるかわからんから夫を連れ出すんだと屈強な警官達に守られた病院にズカズカ乗り込んでいく勇姿には惚れ惚れします。

とにかく面白いのはブルガリアの調査ジャーナリスト、クリストがロシア国内の膨大な情報ソースからナワリヌイ氏を毒殺しようとした実行犯を特定していくくだり。この辺はもうドキュメンタリーであることを忘れてしまうくらいスリリング。そしてそんな彼らにナワリヌイ氏自身が接触を試みる辺りから次々に判明する驚愕の事実。こんなこと言っちゃったら彼は殺されちゃうねとかとにかく前のめりで楽しそうなナワリヌイ氏もスゴイですが、都合が悪い人間は虫でも殺すかのように排除する政府と、デマ情報を自国内にばら撒きながら突きつけられた事実に対してはフェイクだと平然と言ってのける国内メディアが牛耳るロシアの絶望的な現況にとにかく驚きます。そして同時に日本はどうなのかと考えると実は大して変わらないことにも愕然とさせられます。

とにかく恐ろしい現実にキャッキャと楽しそうに挑んでいくナワリヌイ氏と仲間達の快進撃はそんな絶望も露わにしていきますが、国内にはそんな彼らへの熱狂的な支持者達が多くいることもしっかり捉えていて後味爽やか。ナワリヌイ氏が最後にロシア国民に語りかける言葉は胸に突き刺さります。

所々で爆笑してしまうくらい楽しいのに時折添えられる一言にゾッとさせられる、ニコニコ笑いながら手榴弾でキャッチボールをしているかのような破壊力抜群のドキュメンタリーです。

よね