プアン 友だちと呼ばせてのレビュー・感想・評価
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どこの国でも深夜ラジオには変わらぬ愛が詰まっている
疎遠だった親友と車で旅に出る。カーステレオからはひと昔前に流行った音楽と、初老DJのちょっと気恥ずかしくなるくらい真っ直ぐなメッセージーー。このシチュエーションを創り出した時点で、本作が世界中のあらゆる観客にとってノスタルジーをもたらす名作になるのは保証されたようなもの。「昔の恋人に会いにいく」という旅の目的からは、つい軽くて甘い映画を想像してしまうが、本作は早々にその域を飛び越え、重厚さ、そして人生のほろ苦さをあらわにする。一つ特徴的なのは、全てにおいてまず行動が描かれ、その後、経緯や心境が明かされるということ。一本調子、一直線ではなく、どこか展開図を開くような構造を持っているというべきか。過去と現在とで印象を変え、人間の美しい部分だけでなく負の部分をも覗かせる主演二人の存在感は見応えあり。彼らの人間としての変移や成長が、やがて美しい風景と深く相まって、本作を実に忘れ難い映画にしている。
ウォン・カーウァイ製作による影響が感じられる分、プーンピリヤ監督の持ち味が控えめに
バズ・プーンピリヤ監督の前作、2018年日本公開の「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」は、当サイトの新作評論に寄稿したこともあってかなり思い入れのある映画だった。最新作を楽しみにまっていたのだが、ウォン・カーウァイがプロデュースを担ったとのことで、恋愛要素、感傷ムードが増した一方、監督の持ち味であるスタイリッシュなサスペンス演出や一風変わった映像手法が控えめになってしまったか。 NYで暮らす主人公ボスが、余命宣告を受けた旧友ウードのためにタイに帰国し、ウードが元恋人たちを訪ねる旅の運転手を務めることになる。元カノを歴訪?する話といえばまずジョン・キューザック主演の「ハイ・フィデリティ」が思い出されるし、若干状況は違えど今カノ5人(5股の相手)と今生の別れを告げる伊坂幸太郎原作の「バイバイ、ブラックバード」(映画ではなく連続ドラマだが)にも感傷的な雰囲気が近い。 ウードが最後に会いに行く女性が、実はボスの過去とも関わっていて、というところから、尺としてはかなりアンバランスな約30分もの回想パートになるわけだが、このあたりはプーンピリヤ監督らしい意外な展開で楽しませてくれる。それなりに雰囲気のあるバディもののロードムービーに仕上がってはいるものの、この監督はもっとクセの強いサスペンスが得意な気がするのだが……次回作にまた期待しよう。
カセットテープの様にA面とB面があるストーリー
まずはウードが会いたい人に会いに行く。 B面はボスが、、、(ネタバレ無しで) ウードが何故ボーズ頭でカツラを付けながら対面するのかがわからなかった。 化学療法(キモセラピー)は受けないと言ってた。だから白血病治療の抗癌剤での副作用でもないだろうに。てっぺんがグレーなので明らかに抜け毛的で無くて髪を剃ってるスタイルだし、反対に回想シーンの発病前のウードは何故かカツラぽい。
キャラクターに寄り添える隙間がなかった
本作と同じ監督が務める「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」は、スタイリッシュな映像やトリックじみた狙いすました演出で、スリリングさの創出に大いに貢献し、作品を面白くしている。 「バッド・ジーニアス」はサスペンス系の作品なので、それがどハマリした。 では本作はどうだろう。どちらかといえばしっとり系の作品で、バズ・プーンピリヤ監督が「バッド・ジーニアス」で施した演出は相性が悪いように思える。しかし、やった。 いくつかのミスリードを誘う仕掛けや、ショットの良さはあったけれど、それが作品を面白くしたかというと、そこまで効いてないように感じる。 どちらかといえばキャラクターの掘り下げを阻害したようにすら感じてしまった。 死期が近いとしても暗くなりすぎず、そこそこ笑えるし、いい感じにしっとりもしている。明白に「ここがダメ」というところはなかったものの、脚本か演出で、もう一押しなんとかならんかったのかと思ってしまうのだ。 物語がしんみりしてくると演出も大人しくなっていく。それは間違ってないだろうが、スタイリッシュだったときとのギャップで、つまらない演出に見えてしまうんだな。 結果、得られるべきエモーションを得られず、フラットな気持ちのまま終わってしまったように感じた。
前半の設定は面白かったけど
「元カノに返したいものがあるから」と、友達についてきてもらう。 カセット・深夜DJ・・・。アイテムはキラッと光るけど。 ごめんなさい、全く乗れなかった。 後半の話のための、前半元カノツアー。 肝心の後半が、だからどうなの?よくある話?。 「バッド・ジーニアス監督」を、前面にPRしすぎ(あれは快作)。
真の友人であることを信じて
もちろん、今回の旅行のウードの本当の目的は、ボスに対する告解であることには疑いがありません。 (たから、まずはどうでも良い元カノから会い始めた。) もちろん、墓場まで持っていくという選択肢もあったのでしょうけれども、それではボスの真意を知ることはできない。 ウードとしては、相当な覚悟を決めての行動だったのでしょう。 ボスに対する告解を終えて、「これでやっと化学療法を受ける決心がついた」「次の旅行では僕が運転手を務める」という意味のセリフがウードにあったと思いますが…。 しかし、毛髪がすっかりなくなってしまい、いつもキャップを被っていたのですから、ウードはすでに化学療法を受けていること、そしてそれが利いていないことは、明らかです。 「次」がないことは、ウード自身がよく知っていたことと思います。 そんな中での告解は、ボスを真の友人と信じてのことだったのでしょう。 本作の邦題は、万一の場合にもボスを真の友人と呼ばせてほしいという、ウードの切ない心中だったのだと受け止めました。評論子は。
なんだか、ハマらず
余命わずかの友人の頼みを聞くために、バーを営んでいるニューヨークからタイに戻り、友人が昔の彼女達に物を返すのを手伝う主人公の話。 現在と過去を行ったり来たりしながら、主人公の過去が見えてくる話で、それなりに面白いんじゃないかなあ、と思うのだが、なんだか自分にはハマらなかった。何が言いたかったんだろうな? おまけ 姉が結婚すると母になるというのは、理屈がわからなかったなあ。
あえて辛口に言うと、、、
シンクロする二つの青春、「あ、そうだったのね」の友情と裏切りエピソードの開示。NYの公園、深夜の街角、屋上、海辺、、、どこを切り取っても美しい構図として成立する青春の出会いと戯れ。でもでも、これが連続ドラマだったら「次回も見逃せないぞ」でハマるのかもしれないが、何だか映画のストーリーとしては後出しジャンケン感が拭えず、少女マンガ風なセンチメンタルジャーニーに思えてしまった。 果たして、自分の満足のために過去を再発掘し、別の人生を歩んでいる(今では)他人である人間の日常へ侵入を図ることのの是非全般に関して、考えさせられた。
ひとつだけあるしたい事
監督さんバーテンダー上がりなんですねー。自分も30年近く生業としていたので何よりもソコのリアリティに親近感が湧きました。だからなのか、人生に潜む後悔を掘り出された気がしてノックアウト。ウォン・カーウァイ風味の映像にノスタルジックな雰囲気がビタッと嵌っていたのではないでしょうか。ジョン・ウーのオマケもついてたしね笑 物語と鑑賞側の感情のシンクロさせる手腕も見事で、後半「こいつクソやな」って思ってたけども、よくよく考えたら普通に有り得るよね?他人やし。って納得。実に丁寧で上手い作りでございました。終わった瞬間にもう一度観たくなる、タイ映画の勢いを纏った素敵な作品なので、チャンスがあれば飛び込んで頂きたい所です。ラジオ放送とカセットテープという取り合わせも今ならむしろ新鮮だし、我々世代なら実家に眠ってる「恥ずかしい編集テープ」を引っ張り出したくなっちゃうかもですね♪
人生のB面を巡るお話
スタイリッシュな映画を見に行ったつもりが、 思いのほかロマンチックで、 というか切なくて、 泣いてしまった。 映像や音楽や構成は かっこいいんだけど ハートの部分も しっかり入ってて 胸が揺さぶられてしまった あー恋したい そして友達に会いたい 時間をかけて巡ってくるものがある 人生ってそうゆうものかも
カクテル、深夜ラジオ、車での旅!雰囲気は良い。
まだ主人公達は30歳前半なのに魅力的な元カノ多すぎ、元カノ傷つき過ぎという印象を受けましたが、美味しそうなカクテル、男二人でクラシックな車での旅、深夜ラジオのBGMと、ロードムービーとしての雰囲気は抜群です。自分に現代のタイの若者について、もっと知識があったらもっと感情移入できたかもです。
(原題) One For The Road
映像や音楽はとてもいいが、物語構成はうーん…という感じ。 白血病のウードを軸にした前半は彼の身勝手さが目につき気持ちが向かなかったが、後半はストーリーがガラリと変わり一気に引き込まれた。 ラストの急展開もびっくりした!
とってもほろ苦い青春ノスタルジー映画。
「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」のバズ・プーンピリア監督の最新作、しかもあのウォン・カーウァイが製作総指揮と聞けば観ない手はないでしょう! NYでバーを経営してるタイ出身のイケイケ男とその友人でタイで余命宣告を受けた元イケイケ男のロードムービー、って言っちゃうと軽い映画みたいですがとっても切なくてほろ苦くて。でもお涙頂戴モノではなくて。 サントラ欲しくなる位に音楽はいいし映像は色彩鮮やかでカッコイイ。90年代にカーウァイ作品に嵌った身としては懐かしさもあって心地よく。「恋する惑星」「ブエノスアイレス」あたりを連想しながら鑑賞しました。 小道具の使い方がめちゃくちゃ上手い!特にカセットテープとカクテル。元カノとのストーリーが曲やお酒とクロスしておしゃれだなぁ~と思っていたら、テープがB面にひっくり返った途端に全く別の展開に。脚本と構成の巧みさに驚かされました。 元カノとの恋模様や主役2人の関係性などが時間軸を行ったり来たりしながら少しずつ解き明かされていくというのも上手いなぁと唸りました。 途中の劇中劇ではいきなりジョン・ウー的になるのには吹き出しかけましたけど。白い鳩飛ばしてましたねぇ(笑)。 人生をふり返る時期にいる大人のための青春映画、かな。 私の嗜好ど真ん中でした。 ただし、元カレに訪ねてこられるのは迷惑ですけどね(笑)。 邦題(副題の「友だちと呼ばせて」部分)から受けるイメージでちょっと損しているかも、ですね。
ボスは良い人
死期が迫ったウードの元カノを訪ねるという感覚に、 共感できるようなできないような… 元カノの立場だったら、有りか無しかとか、 いろいろ考えてしまって、入り込めず… また、そこまで訪れたい理由も解らず… が、ボスのパートになったら、 俄然、面白くなった! ウードのパートは序章のような、伏線のような…。 ボスの感情は解りやすいし、 かつ、お金持ちの生活は知らないから、 違和感より興味の方が強いし。 しかし、ウードのボスへの告白は、 わたしがボスだったら、 「うわぁ~、人って恐いよー。」ってなって、 人間不信になっちゃうかも。 そして、死期が迫ってる人からって… ボスが不憫でならないよ。 でも、全体的にまとまってて面白かった。
想い出を演出する美しいカクテル
死が迫るとどう爪痕、足跡を残すのか。歴代の元彼女に会いに行く、そう思いついた非常に男目線の身勝手な着想。 巻き込まれた親友が渋々協力するタイの旅、ここからの展開は想像もしなかった意外な展開へ。 友へ最期に最も伝えたかった本当の後悔と想いに涙。想い出を演出する美しいカクテルはとってもハートフルで最後に暖かい涙に包まれる心染み入る映画、お薦めです
余命少ない友人の頼みをかなえるロードムービー と思いきや、途中から...
余命少ない友人の頼みをかなえるロードムービー と思いきや、途中から話が展開していく この旅の本当の目的が明らかになっていく 過去にしてしまったこと、伝えられなかった言葉、伝えられなかった想い 抱えたまま、時が過ぎていくだけにしない作品だった こんな最後の旅、悪くない
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