劇場公開日 2022年8月5日

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「「A面」と「B面」」プアン 友だちと呼ばせて TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「A面」と「B面」

2022年8月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年の春、シネスイッチ銀座で見るともなく見ていた本作のトレーラー。「これは?」と気にはなったものの、監督の前作『バッド・ジーニアス 危険な天才たち(18)』が個人的にはあまりハマらなかった(作品の主要素である「カンニング」の方法があまりに非現実的なのが引っ掛かり、物語も陳腐に見えてしまった)こともありそのまま忘れかけていたのですが、その後よく聴くラジオ番組で何度か取り上げられていたことで興味が復活して鑑賞してまいりました。

ラジオDJだったAood(ウード)の父の放送を録音したカセットテープをBGMに、プアン(友達)のBoss(ボス)と共に元カノに会いに行くロードムービーとして始まるこの作品。前半は主にAood側の背景で語られる「A面」、オートリバースで切り替わり後半はBoss側の背景で語られる「B面」として構成されています。
「A面」序盤はAoodの病気、音楽、酒、そして彼女(オンナ)で過去が語られ、割とクラシックで(どちらかと言えば)男性好みのするロマンティックロードムービーといった感じなのですが、Aoodの体調と共に徐々に雲行きが怪しくなってきます。
そして「B面」に入るとどんどんと暗雲が立ち込め、サスペンスフルな展開から時に一触即発な状況など、序盤の雰囲気など何処へやらと言った内容で、観ている我々を最後まで飽きさせません。
ヘアメイクや衣装など、ちょっとした変化で過去と現在のBossを演じ分けるトー・タナポップの演技が良かったこともさることながら、白血病患者を演じるため17キロのダイエットで挑んだAoodを演じるアイス・ナッタラットの意気込み、凄みが感じられます。そして、周りを固める女性陣も皆さん、それぞれのキャラクターが光り、二人の過去、性格と経験を重層的に感じさせてくれています。素晴らしい。
各シーンに合わせた選曲もセンス良く、さらにタイの国民的ポップ・スター、STAMP(スタンプ)の『Nobody Knows』がエンディングに心沁みる作品に仕上がっています。

TWDera