「ワン・フォー・ザ・ロード」プアン 友だちと呼ばせて 羽入裕三さんの映画レビュー(感想・評価)
ワン・フォー・ザ・ロード
「プアン/友だちと呼ばせて 」を観た。
Aood(ウード)が友達のBoss(ボス)と、元カノ行脚にでる前半のロードムービーがA面。
B面はBoss(ボス)が旅の打上げでウードの3人の元彼女達のカクテルを造るが、ウードがボスにとって大切な女性の為の4杯目をリクエストする。
「本当の目的は違うんだ。お前に会いたかったのには、訳がある」と語り始める事からもう一つのストーリーがスタートする。
またワン・フォー・ザ・ロードのタイトルが洒落ている。
邦題は分かりやすくする為にタイトルが違うプアンになってしまったのが残念だ。
シナトラが唄うこの歌の一節から映画のタイトルが出来ていて、この歌が挿入されたオリジナル映画(the sky is the limit)の内容(ダブルミーニング)に絡めて仕掛けが出来ている。
タイトルになるこの歌「One for my baby(and One more for the road)」がオリジナルで歌われているのは第二次世界大戦中のフレッド・アステアの映画(青空に踊るSky is the limit )。
因みにブレードランナー2049ではリメイクのシナトラで歌われている。
バーテンダーJoeがいる前でアステアのこの歌が歌われる。
BARでJoeと呑んでいる主人公アステアは戦争に行って死ぬ事を意味してる。
因みにJoeはユダJudasのもじり。
プリムがJoeのBARに習いに行くのもウードの気持ちを裏切ってしまう伏線(ユダの手先?)が張られている。
殆どの人は気がついてい無いけど、ウォン・カーウァイ とバズ・プーンピリヤ二人の仕掛けが流石!
ウードはホテルから父のBMWに乗って幸せそうな二人の居るBARを横目に輪廻転生の旅へ、ボスとプリムは二人の一度止まってしまった未来(ワン・フォー・ザ・ロード)へ時計の針を進めていくのだろう。
脚本が良く出来て無いとこういう映画は成立しない。
この作品はウォン・カーウァイ 製作とバズ・プーンピリヤ監督と言う二つの素材が素晴らしいオリジナル・カクテルを創り出した。
レシピは無いが意外と深くてとても素敵な味わいの有る一杯。