「人生を左右する葛藤」恋人はアンバー U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
人生を左右する葛藤
たぶんならば、この作品は誰かを救うに値するのだと思う。
10代の多感な時期が舞台。
自分が大多数とは違うと感じた時の恐怖がふんだんに描かれる。そのものに対する引力と反発が痛々しい。
本作の時代より、今は幾らかはマシなのだろうと思うのだけれど、それでも境界線を踏み越えるのは容易な事ではないのだろうと、この作品を見て思う。
自分を偽る彼と
自分のままで、生きようとする彼女。
どちらも容易な事ではなかった。
ただ、受けとめてくれる誰かを得た時の彼女はとても幸せそうで、可愛いらしかった。
彼女が彼との契約を解消した理由は、愛を交わし合える相手を得たからだった。
彼女はSEXが出来ない相手と、これ以上付き合えないと言う。10代の偽りの無い言葉なのだけれど、大胆だ。
愛を語るのにSEXはなくてはならないのだ。
本作では、物凄く極端にその対比が描かれる。
性欲が根源のSEXと愛情が根源のSEX。
前者はとても下品に映る。いっその事名称を変えればいいのにと思うくらい中身が違う。
日本のSEXの位置付けは、前者がベースだからいただけない。
ジェンダーレスって言葉と、この性的嗜好は似て非なるモノなのかもしれないけれど、愛情が根源にあるSEXを取り上げられている人達は、やはり可哀想だと思える。
生産性が無いと誰かが言った。
少子化に拍車がかかると誰かが言った。
そういう側面もあるのかもしれないけれど、歪な精神状態で社会と関わるよりは、充実したプライベートから生まれるエネルギーを社会に還元してもらった方が長期的にはいいような気がする。
アンダーグラウンドにしか受皿がないってのも変えていくべきなのだろう。
そんな事を、この作品を見て考えた。
主演の2人は見事だった。