劇場公開日 2023年7月7日

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「2023年。山下敦弘監督。台湾映画の佳作を男女逆転してリメイク。そ...」1秒先の彼 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)

4.02023年。山下敦弘監督。台湾映画の佳作を男女逆転してリメイク。そ...

2023年7月8日
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鑑賞方法:映画館

2023年。山下敦弘監督。台湾映画の佳作を男女逆転してリメイク。それぞれにさえない日常を送る若い男女が、幼いころの思い出を活性化させて相手にたどり着くまで。原作では静止した世界に対して躍動感ある主人公(行為も心情も)が魅力的だったが、今作の主人公の二人は行為も心情も躍動感とは程遠い。わかりやすさとリアリティを優先した設定だと推察するが、ドラマの起伏は削減されてしまった。SF的設定のわかりにくさ(謎)もある程度まで解消されていて、「何だこれは」という見た者の驚きが奪われている。リメイクだから当たり前だが。せっかく男女逆転しているのだから、それ相応の別の驚きを期待していたのだが、失踪した父親の出現という細部まで妙に原作に忠実。
男性主人公のエピソードを実は追跡していた女性主人公の目線から語りなおすのだが、その時、最初の男性主人公のエピソードを写すカメラの位置が女性主人公の目線だったと場面がある(バス内とか)。すると、女性主人公のエピソードを見ているのは誰かということが意識されてくる(カメラの自意識)。これってリメイクである今作自体にも当てはまるメタ認識なのだが、たまたまなのだろうか。
脱力系、オフビート、ダメな人たちを描くのが上手、という山下監督のこれまでの作品づくりの流れには沿っている。川や海の映像は美しい。嘘のようにぎこちない京都弁はなかったことにしよう。主演の二人はそれなりに魅力的。

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