「そもそもファンタジーにする必要はあったのだろうか?」1秒先の彼 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
そもそもファンタジーにする必要はあったのだろうか?
オリジナルの「1秒先の彼女」では、無防備な女性を男性が1日連れ回すということに、ちょっと「危なさ」を感じてしまったが、本作では、女性と男性の立場が入れ替わっているため、そうした懸念が解消されている。
清原果耶の地味で冴えないヒロインぶりもハマっているし、新たな登場人物によって、女性が無理なく男性を連れ回すことができるように工夫されているのも良い。
ただし、人々は動きを止め、虫や鳥は空中で静止しているのに、木々が風に揺れ、波が打ち寄せ、太陽が動くというところには、やはり、違和感を感じざるを得ない。
ワンテンポ遅い彼は、日曜日の朝から月曜日の朝までタイムリープして、その間、どこにも存在していないはずなのだが、他の人々と一緒に静止しているところしか描かれていないため、彼だけが時間を飛び越えたということも分かりにくい。(日曜日の朝に発見されるべき40万円が、彼が目を覚ました月曜日の朝に発見されるのもおかしい。)
オリジナルを観た時にも思ったのだが、確かに時間が止まる場面は、映像的な驚きはあるし見た目も面白いのだが、そもそも、1日をもらったり返上したりするという設定は必要だったのだろうか?
テンポが合わない男性と女性が知り合い、お互いにテンポを合わせる努力をしていくうちに、徐々に相手を思いやる気持ちを深めていく。
これが、ファンタジーではなく、そんな「普通」のラブ・コメディーであったとしても、十分に楽しむことができたのではないかと思えるのである。
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