愛に奉仕せよのレビュー・感想・評価
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姉さんの大きな愛に包まれて
中国の作家、閻連科の小説、為人民服務( Serve the People)を原作とする韓国映画。
原作は中国では発禁本。
為人民服務は元々、毛沢東の演説から生まれたスローガンで、「北」でももちろん使用される。
「服務」は日本語から中国語に流入した日本語借用語とのこと。
文武に優り、「英雄」の称号を持つ師団長は美しい若妻スリョンと二人だけで立派な家に住んでいる。門では護衛が24時間見張る。師団長付の炊事兵に大抜擢された若い模範兵のムグァン。間もなくして、師団長は本部での会議のため1ヶ月間の長期出張で家を空けることになる。
食卓には為人民服務(人民に奉仕せよ)と書かれた木札が置いてある。この木札の位置が変わっていた時は二階に来なさいという意味だから、命令に従いなさいと言われる。
木札が所定の位置にない❗
二階に上がる階段でしどろもどろ状態のムグァン。師団長からは二階には絶対に上がってはならぬと言われているからだ。二階に上がると、蚊帳付のベッドにシルクの透け透けネグリジェ姿で横たわるスリョン。そして、「奥様」ではなく、「姉さん」と呼びなさいと命令される。4歳年上の女。故郷に妻子を残してきているムグァンは5年以内に幹部に昇進しなければならない事情があった。スリョンは元女性兵士で模範兵士として評価され、英雄の名誉ある妻になった。ところが、後半にスリョンが語るのだが、師団長は股間に銃弾を受け、その男性機能を失っていたのだった。
前半は「北」をディスるおふざけ映画なのかなと思いながら、見ておりましたが、だんだんクセになってきて、スリョンの手解きを受け、四十八手を繰り出すまでになり、とことんご奉仕するムグァンが可愛いと思うほどに。ラストに向かって、スリョンとムグァンが愛の本気度を競うように自暴自棄になる展開もあり、とてもスリリング。
スリョンの軍服姿にも萌えました。
ご奉仕にはご褒美が用意されていました。お姉さんの大きな愛に包まれたムグァン。ラストのスリョンのとった行動はミステリアスで、カッコいいなぁと思いました。
精神的、社会的抑圧からの圧倒的な解放感
中国で発禁処分を受けた小説の実写化。
師団長が一ヶ月の出張の間。
セックスで人間としての悦びを解放する
上官の妻と炊事兵。
女性として人間としての感情を
抑圧し続けたスリョンが
人間らしさを取り戻し少しずつ増える笑顔。
透き通るような白い肌の美し過ぎるジアンが
全身で剥き出しの愛を享受するスリョンを演じる。
社会主義の下。
素直に人間らしく生きられた二人の束の間は
どこまでも美しくて眩しい。
お互いの愛を確認する終盤。
真面目で模範的だった炊事兵のムグァンが
スリョンと共に破壊した絶対的だった価値観。
全てを犠牲にしてでも示したかった本当の想い。
色々な表現が厳しくなる昨今。
作品の為に体を張った主演二人の覚悟に
心から敬意を。
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